2017 Fiscal Year Research-status Report
マイトファジーにおけるBRCA1の機能解明とBRCA1変異乳癌の新規治療開発
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17K16519
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
宮原 か奈 東京医科大学, 医学部, 助教 (90532391)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | BRCA1 / 乳癌 / マイトファジー / ミトコンドリア / Parkin / オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで我々は、オートファジーやユビキチン・プロテアソーム系などのタンパク分解系に着目し、乳癌をはじめとする様々な癌細胞株において、これを標的とした新規治療法を報告してきた(Miyahara K,et al. Int J Oncol,2016)。本研究は、臨床において予後不良であるにもかかわらず、いまだに有用な標的治療が確立していない“BRCA1変異乳癌”に対して、ミトコンドリアの選択的オートファジーである“マイトファジー”を標的とした新規治療法を開発することを目的としている。 本研究においてマイトファジーの観察法の確立は必須であるため、まず、BRCA1野生型乳癌由来MCF7細胞を用いて、マイトファジー実行分子であるE3ユビキチンリガーゼのParkinを安定導入したMCF7-Parkin細胞を樹立した。このMCF7-Parkin細胞は、normal MCF7と比較し、CCCP(ミトコンドリア脱共役剤)の添加により、ミトコンドリア外膜タンパクであるTOM20が減少することを、ウエスタンブロット法で確認することができた。また、免疫染色による顕微鏡観察においても同様に、CCCPによるTOM20の減少を確認することができた。このことから、マイトファジーによるミトコンドリア分解過程の観察が可能となった。 続いて、BRCA1がマイトファジー誘導に関与しているかどうかを検証するために、MCF7-Parkin細胞を用いて、テトラサイクリン誘導型BRCA1ノックダウンベクターを安定導入し、Tet-shBRCA1-MCF7-Parkin細胞を樹立することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MCF7-Parkin細胞を作成したことにより、マイトファジーの観察が可能となった。また、この細胞株を用いて、Tet-shBRCA1-MCF7-Parkin細胞を樹立することに成功したことから、本研究は「おおむね順調に進展している」と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
作成したMCF7-Parkin細胞およびTet-shBRCA1-MCF7-Parkin細胞を用いて、BRCA1の発現の有無により、CCCPをはじめとするミトコンドリア障害性薬剤によるマイトファジー誘導に影響するかどうか検証する方針である。
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Causes of Carryover |
(理由) 端数分のため、必要試薬・抗体・消耗品の購入費に満たなかったため。 (使用計画) 次年度と合算し、試薬・抗体・消耗品の購入費とする。
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