2020 Fiscal Year Annual Research Report
Control of instant blood mediated inflammatory reaction by C3 inhibitor
Project/Area Number |
17K16525
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中西 渉 東北大学, 大学病院, 助教 (50636024)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 肝細胞移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に確立した肝細胞移植ラットモデルを用いて、C3阻害剤として用いられているコンプスタチンを投与して肝細胞移植に対する影響を確認する実験を行った。薬剤は肝細胞を経門脈移植する時に、移植部位にて薬剤が作用することを可能とする目的で、経脾静脈から投与し、有効性が最大限となるように設定した。コンプスタチンは半減期を考慮して移植時にone shotその後1時間持続投与のモデルとした。このモデルで薬剤投与における明らかな有害事象はみられなかった。生着結果は血清アルブミンを測定して効果を判定したが、移植後21日目まではコンプスタチン投与群の方が血清アルブミンは高値であり、有効である傾向を認めた。endpointとして設定した移植後28日の時点では有意な差を認めなかった。この結果からC3阻害では移植後の即時型炎症反応による移植肝細胞の破壊を制御することは難しいと判断した。続いて補体阻害剤のC5a阻害剤を用いた同様の移植実験を行った。C5a阻害剤は同様の移植手技である膵島移植では有効性が証明されており効果が期待されたが、こちらも移植後28日目までの血清アルブミン値については有意な差を認めなかった。以上の得られた知見から判断すると、肝細胞移植後の即時型急性期炎症反応においては、補体系の関与が強い経門脈膵島移植とは異なり、補体系よりも凝固系が強く関与していることが判明した。肝細胞移植の成績向上のための戦略としては、臨床的にも使用されている凝固系を制御する薬剤を使用することが有用であると考えられた。
|