2017 Fiscal Year Research-status Report
膵癌における血管外血小板凝集とMicroRNA21を介した進展の検討
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17K16535
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山口 貴久 金沢大学, 附属病院, 医員 (50781142)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 膵癌 / 血管外血小板凝集 / CD44 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵癌は難治癌の一つとされ,治療成績向上は急務である。これまでの報告では血管内血小板による癌細胞のcloak,免疫寛容の報告は認めているが,癌局所での,血管外血小板凝集(Extravasated platelet aggregation ,EPA)と腫瘍の増殖進展に関する分子細胞学的な事象に関してはほとんど明らかとなっていない。本研究は難治性固形癌の一つとされる膵癌に対して,血管外血小板凝集(EPA)と膵癌細胞への取り込み,microRNA21を介した膵癌の増悪・進展を検討し明らかにすることを目的とした。申請者らは膵癌原発巣でのEPAと,その後の膵癌細胞内への血小板のendocytosis,血小板由来のmir21の膵癌細胞への取り込みと,PTENの抑制,癌の浸潤,増殖が誘導されるとの仮説をたてて本検討を行うこととした。 膵癌細胞株としてPanc-1, AsPC-1, MIA-PaCa2, BxPC-3, Capan-1 を使用し健常人ボランティアより採取した血小板を利用し膵癌細胞株と血小板の共培養を施行した。共培養結果では Panc-1, MIA-PaCa2との共培養にて高度の血小板凝集を認め,AsPC-1 では中等度の凝集,BxPC-3, Capan-1では血小板の凝集はほとんど認めなかった。これらの結果はCD44 standard formの発現と比例しており,またCD44 variant formと逆相関することが判明した。CD44 standard form 低発現のBxPC-3細胞株にTGF-βを添加し約4週間の培養を行い,CD44 standard formの発現誘導を確認した。ヒト血小板との共培養により血小板凝集を認めなかったBxPC-3親株に対し,CD44 standard form発現を認めるBxPC-3は共培養により血小板凝集を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は血小板の膵癌細胞への取り込みの評価とmicroRNAを介した悪性度の評価を行う予定であったが,取り込み評価の困難と,膵癌細胞株により血管外血小板凝集の程度が異なることから,CD44 のstandard form, variant formの相違と血小板凝集の関連の評価を行うこととした。 現在CD44 standard formを誘導したBxPC-3を中心に検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初は血小板の膵癌細胞への取り込みの評価とmicroRNAを介した悪性度の評価を行う予定であったが,取り込み評価の困難と,膵癌細胞株により血管外血小板凝集の程度が異なることから,CD44 のstandard form, variant formの相違と血小板凝集の関連の評価を行うこととした。 CD44 standard form 低発現のBxPC-3細胞株にTGF-βを添加し約4週間の培養を行い,CD44 standard formの発現誘導を確認した。ヒト血小板との共培養により血小板凝集を認めなかったBxPC-3親株に対し,CD44 standard form発現を認めるBxPC-3は共培養により血小板凝集を確認している。 今後は各種細胞株にてCD44 standard formをノックイン,ノックアウトを導入し,CD44 standard formの有無による血小板凝集の程度を評価し,血小板凝集におけるCD44 standard form の関連を証明する。
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Causes of Carryover |
本年度の進捗状況としてやや遅れが生じているのと,研究計画の変更が生じ,必要物品の購入の不足分が生じたため,次年度使用額が生じた。 今後は各種抗体の購入費に加え当初の予定のwestern blot,RT-PCR等の実験費の使用を行う。
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