2017 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the anticancer drug resistant mechanisms in colorectal cancer using a global lipid analysis
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17K16537
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
平出 貴乗 浜松医科大学, 医学部, 特任助教 (70780386)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 抗がん剤耐性 / 大腸癌 / リン脂質 / 質量分析法 / SCD1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、がん細胞における抗癌剤耐性のメカニズムを脂質合成・代謝経路の観点から明らかにすることであり、網羅的脂質解析が可能である高分解能質量分析装置を用いて、抗がん剤耐性機構への脂質の関与を明らかにし、最終的には患者個々に対応した治療法を探し出すことを目的としている。 当科で代々継代している3系列のヒト大腸癌由来固形腫瘍のxenograftモデルよりspheroidを作成し、5-FU耐性群、感受性群を同定したのち、脂質解析を行った結果、5-FU耐性群では感受性群に比較し、細胞膜のリン脂質における飽和脂肪酸が多いことが判明した。 以上から平成29年度は、飽和脂肪酸に2重結合を付加することで一価不飽和脂肪酸に変換する遺伝子であるSCD1(stearoyl-CoA desaturase 1)を大腸癌細胞株(HCT116, DLD1)を用いてsiRNA法によるSCD1遺伝子knock-downおよびSCD1阻害剤(A939572)を用いて5-FUの感受性に変化がみられるかを検討した。その結果、SCD1 knock-downおよび阻害剤を用いることで、大腸癌細胞株内の飽和脂肪酸含有量が増加することが判明した。細胞内飽和脂肪酸の増加した状況において5-FUを培養液に添加した場合、細胞の増殖率および細胞数ともに抗がん剤耐性傾向を示すことが明らかになった。 抗がん剤耐性の機序を解明するため、細胞膜の流動性の変化を膜環境感受性色素LaurdanおよびMembrane Fluidity Kitを用いて検討した結果、飽和脂肪酸を多く含む5-FU耐性群では細胞膜の流動性が低くなっていることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、飽和脂肪酸含有リン脂質の抗がん剤耐性への効果を検証することができており、細胞膜の飽和脂肪酸と流動性との関係に関しても確認することができた。 一方、5-FU以外の抗がん剤(CPT-11、l-OHP)、抗PD-1抗体薬などに関しては検討できていないため、平成30年度で他の薬剤に関しても検討していく。
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Strategy for Future Research Activity |
上記に記載した通り、平成30年度は5-FU以外の抗がん剤(CPT-11、l-OHP)、抗PD-1抗体薬投与下における細胞膜リン脂質の変化を検討すること。 5-FU投与下で確認された細胞膜内の飽和脂肪酸含有量が異なることが5-FUにおける抗がん剤耐性に関与することをxenograftモデルを用いて検証する。
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Research Products
(1 results)