2017 Fiscal Year Research-status Report
オートリソソームを介した癌幹細胞維持機構の阻害による大腸癌新規根治的療法の開発
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17K16541
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹田 充伸 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (90768962)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 癌幹細胞標的化治療 / オートリソソーム / 大腸癌 / 新規標的化治療 / メフロキン |
Outline of Annual Research Achievements |
癌幹細胞は癌の多様性形成や治療抵抗性獲得に重要な役割を担っているが、その中でも自己複製能が高い癌幹細胞(long term tumor initiating cells; LT-TICs)こそが最も重要な治療標的細胞であると考えられている。 われわれは、オートリソソーム活性が亢進した細胞集団が LT-TICs の性質を有した癌幹細胞としての性質を高く保持していることを、flowcytometry,single cell sphere formation assay(in vitro)やlimititing dilution assay(in vivo)によって示すことができた。 また、オートリソソーム活性を阻害することにより、癌幹細胞含有率が有意に減少し、癌幹細胞標的化が可能であることが示せた。特に日本で使用可能な抗マラリア薬の予防薬であるメフロキンが、他の癌種ですでに海外で臨床試験進行中のクロロキンやヒドロキシクロロキンと比較して、既存の抗癌剤との併用による相乗効果、高い抗腫瘍効果をもつことが確認できた。PDX (Patient-derived xenograft) mouse modelにおいても、メフロキンが高い抗腫瘍効果を持つことを示すことが出来た。 今後は、癌幹細胞分画を効率的に消失させるメフロキンの薬理作用をPDX mouse modelにおける治療腫瘍のマイクロアレイ解析などを使用し解明していき、どのような分子生物学的機序により癌幹細胞の維持を行っているのかを明らかにしく。また、メフロキンによる大腸癌幹細胞の新規標的治療法の臨床応用を目指していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
癌幹細胞は癌の多様性形成や治療抵抗性獲得に重要な役割を担っているが、その中でも自己複製能が高い癌幹細胞(long term tumor initiating cells; LT-TICs)こそが最も重要な治療標的細胞であると考えられている。 われわれは、オートリソソーム活性が亢進した細胞集団が LT-TICs の性質を有した癌幹細胞としての性質を高く保持していることを、single cell sphere formation assayやlimititing dilution assayによって示すことができた。 また、オートリソソーム活性を阻害することにより、癌幹細胞含有率が有意に減少し、癌幹細胞標的化が可能であることが示せた。特に日本で使用可能な抗マラリア薬の予防薬であるメフロキンが、他の癌種ですでに海外で臨床試験進行中のクロロキンやヒドロキシクロロキンと比較して、既存の抗癌剤との併用による相乗効果、高い抗腫瘍効果をもつことが確認できた。PDX (Patient-derived xenograft) mouse modelにおいても、メフロキンが高い抗腫瘍効果を持つことを示すことが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、癌幹細胞分画を効率的に消失させるメフロキンの薬理作用をPDX mouse modelにおける治療腫瘍のマイクロアレイ解析などを使用し解明していき、どのような分子生物学的機序により癌幹細胞の維持を行っているのかを明らかにしく。また、メフロキンによる大腸癌幹細胞の新規標的治療法の臨床応用を目指していく.そして、オートリソソーム阻害群と活性誘導群、コントロール群間においてアレイ解析を用い、有意に変動が認められる mRNA, micrRNA, LincRNAを抽出する。また、パスウェイ解析に同結果を載せて、どのようなパスウェイに依存性が高いのかを明らかにする。有意に変動する因子の強制発現、抑制実験を行うことで、幹細胞性がどのように変化するのかを評価し、癌幹細胞の自己 複製並びに細胞周期を静止期に止める因子を抽出していく。将来的創薬のシーズとすべく、 semi-high throuput による化合物スクリーニングを合わせて進めていく。
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Causes of Carryover |
研究計画が予想以上にうまく進行しているためと思われる。
次年度には治療マウスの腫瘍に対するアレイ解析やパスウェイ解析に使用する予定である。
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