2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K16554
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
有本 聡 神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (20778766)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 腹膜播種 / CD8+細胞 / milky spot |
Outline of Annual Research Achievements |
胃癌は外科手術が根治治療の中心となるが、術後再発形式として、最も高率な因子は腹膜播種である。実際、死因の約60%は腹膜播種に伴う癌性腹膜炎とされる。胃癌の治療成績の向上には、腹膜播種の病態解明と治療戦略の確立が急務であると言える。 腹膜播種は、腫瘍自体より遊離した癌細胞(peritoneal exfoliated cancer cell; PECC)の 微小転移から形成され、進展していく。PECCは足場として、大網や腹膜に表面に局在するmilky spotと呼ばれる原始的なリンパ組織に、他の臓器に先んじて接着する。milky spot は、腹膜播種の癌細胞の足場形成部となるだけでなく、同時に腹腔内の腫瘍特異的免疫応答に関わる二次リンパ組織である。細胞障害性 T 細胞の供給源である、幹細胞メモリー様 T(stem cell-memory-like, Tscm-like)細胞のはmilky spot に集簇し、腹腔内抗腫瘍免疫応答において重要な役割を担うと強く推測される。そのためその機能、動態を解析することは腹膜播種の抗腫瘍免疫紀行のメカニズムを解明する上で重要である。また同時に、抗PD-L1抗体腹腔内投与を含めた治療の可能性を探求する研究である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウス腹膜播種モデルを作成している。各細胞株を腹腔内投与し、腹膜播種モデルを作成する。C57BL/6 マウスを宿主とし、腫瘍は腫瘍特異的システムを用いるため、マウス悪性黒色腫細胞株 B16-OVA(OVA タンパク導入 B16)を用いる。同時にマウス大腸癌細胞株MC-38 を用いる。必要に応じて、β-gal 導入を 行う。また、BALB/c マウスを宿主とし、大腸癌細胞株CT26CL25 (β-gal 導入 CT26)を用いる。 腹腔内に投与する腫瘍細胞の細胞数の過多により早期にマウスが死亡するが、少量であれば腹膜播種が樹立しない。肉眼的に確認する以外に腹膜播種を確認する方法がないため、適切な細胞数、適切な解析時期を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
適切なマウスモデルを作成後、大網、洗浄腹水、腸間膜リンパ節、脾臓、肝臓、骨髄、 末梢血を検体として、幹細胞メモリー様T細胞(CXCR5+CD8+T 細胞)の局在を調べ、正常マウスと比較する。 CXCR5+CD8+T 細胞としての機能は PD-1、Tim-3、ICOS、Bcl-6 などの発現で確認する。 腸管膜リンパ節、脾臓に関しては蛍光免疫染色を行い、CXCR5+CD8+T 細胞の組織内での局在を調べる。 次に、活性炭素の腹腔内投与にてマウス大網上の milky spot を同定する。さらに蛍光免疫染)を用い評価する。CXCR5+CD8+T 細胞の局在およびのナイーブ T 細胞、CXCR5-CD8+T 細胞との割合を調べる。 さらに、腫瘍特異的な反応を、B16-OVA を腫瘍株とし、ova8-tetramer を用いて検出する。CT26CL25 に関しては、H-2Ld-AH-1 及び H-2Ld-TPH pentamer を用いて検出する。T細胞疲弊の機能的な評価として、抑制性共刺激分 子の発現、サイトカイン産生能、増殖活性を調べる。 また、マウスモデルでの進捗をみて、並行してヒトの手術検体(腹水、大網)での評価を進める。
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