2017 Fiscal Year Research-status Report
hTERT発現制御における新規の治療標的の解明と臨床応用
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17K16556
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
網崎 正孝 鳥取大学, 医学部附属病院, 医員 (40790374)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | テロメアを伸長するヒトテロメラーゼ逆転写酵素 / テロメア / 肝細胞癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
網羅的スクリーニングにより得られたhTERTプロモータ領域を介してhTERT転写を促進する遺伝子2種(C15orf55およびC7orf43;特許出願等の事由により申請書ではそれぞれ遺伝子E、Fと記載)の機能解析と、臨床検体における発現の確認を行った。 機能解析を行た。C15orf55は、hTERTプロモータ上流の-58bpから+36bp間に応答領域が存在した。さらに詳細に検討し、この領域に複数存在するGC motifを介して転写を促進していることを明らかにした。GC motifは転写因子Sp1の結合サイトであるから、C15orf55によるSp1を介したhTERT転写促進が示唆された。実際にSp1阻害剤を用いるとC15orf55によるhTERT発現上昇効果が消失した。ついで検討したC7orf43の応答領域は-169から-58bp間に存在していた。この領域をさらに再分割し検討したところ、C7orf43はERG1結合領域とGAPBA結合領域とを介してhTERTの転写促進していた。文献を参照すると、C7orf43、ERG1およびGABPAに共通するカスケードとしてHippoシグナル経路が明らかとなった。実際にC7orf43過剰発現株においてHippoシグナル経路のエフェクターであるYAPが活性化していることが示された。以上の様に、C15orf55およびC7orf43は各々、別の機構を介してhTERT発現を上昇させることが示された。 続いて臨床検体における発現を確認した。いずれの遺伝子も、正常肝臓にくらべHCCにおいて強く発現していた。またHCC患者の背景肝(肝硬変、慢性肝炎)においても発現していることが明らかとなった。これら2種の遺伝子発現とhTERTの発現強度は相関関係にあることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
機能未知の遺伝子を対象に機能解析を行ったが、当初より推定していた機能に近かった。そのため初年度に予定していた実験計画は網羅することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度において遂行不十分であった実験を優先して行う。まず、遺伝子過剰発現株での癌幹細胞性の検討をおこなう。とくにスフェア形成能などの細胞表現型の検討は動物実験に進むうえで非常に重要であると考えられる。続いて、臨床検体の症例数を充実させ、長期予後の検討も行う。さらに、動物実験を行い、遺伝子過剰発現細胞株が、コントロールにくらべ生命予後を短縮する事を確認する。
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Causes of Carryover |
次年度使用繰り越しが生じた理由は、本年度に遂行すべき実験の一部(細胞表現型の確認実験など)を次年度に繰り越し行うためである。 全体の使用については、先に述べた実験の消耗品の購入と、研究成果報告のための出張費2回分(日本肝臓学会、日本癌学会)および論文投稿料に充てる予定である。
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