2017 Fiscal Year Research-status Report
癌微小環境における癌関連線維芽細胞のRNA編集の意義と治療への応用
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17K16557
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
重安 邦俊 岡山大学, 大学病院, 医員 (70544071)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | RNA editing / AZIN1 / ADAR1 / 線維芽細胞 / 大腸癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、癌関連線維芽細胞におけるRNA editingの解析を行った。 まず、癌細胞(HCT116、HT29、RKO)の培養液を線維芽細胞に添加すると、RNA editing酵素であるADAR1の発現が高まることを確認した。特に、RKO培養液でのADAR1発現上昇効果が高かった。次に、AZIN1 RNA editingをリアルタイムPCRで確認した。いずれの細胞株由来の培養液でも、線維芽細胞株において AZIN1のRNA editingの上昇を認めた。以上のことから、癌微小環境においては、癌細胞からの液性因子(おそらくサイトカイン)によるシグナルを受け、線維芽細胞でのRNA editingのレベルが上昇していることが証明された。 また、大腸菌由来の内毒素であるリポポリサッカライドを線維芽細胞に添加する実験を行った。リポポリサッカライドにより、線維芽細胞においてADAR1の発現が誘導され、それに付随する形で、AZIN1のRNA editingのレベルが上昇していた。以上のことから、大腸癌の微小環境においては、腸内細菌叢からの菌体由来の内毒素の刺激を受け、線維芽細胞においてAZIN1のRNA editingが上昇していることが証明された。 このように、大腸癌の微小環境では、癌細胞や腸内細菌叢からの刺激により、線維芽細胞においてRNA editingレベルが上昇していることが確認された。これらの反応は、RNA editing酵素であるADAR1の発現上昇が原因と考えられた。 これまで、癌微小環境における線維芽細胞でのRNA editingを解析した報告はなく、今後のさらなる解析・検討が必要と思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画で予定していた初年度の内容をおおむね充足したため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、大腸癌臨床サンプルにおけるRNA editing酵素ADAR1の発現解析を行い、臨床病理学的特徴との比較を行う予定である。また、編集型のAZIN1のoverexpressionを行い、機能解析を試みる予定である。 以上を行うことにより、癌微小環境における癌関連線維芽細胞でのRNA editingの意義を解明できると期待している。
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Causes of Carryover |
microarrayによる遺伝子発現解析を次年度に延期したため。
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