2017 Fiscal Year Research-status Report
大腸癌の3D微少環境構築モデルを利用した薬物療法に対する新規バイオマーカーの開発
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17K16564
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Research Institution | National Hospital Organization, Kyushu Cancer Center |
Principal Investigator |
杉山 雅彦 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, 消化管外科医師 (40751079)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 大腸癌 / 免疫療法 / 腫瘍局在 |
Outline of Annual Research Achievements |
本邦における大腸癌の罹患率、死亡率は年々増加しており、現在女性の部位別癌死亡率の第一位である。他方で、免疫にかかわる分子の解明が加速度的に進んだ結果、癌による免疫回避のためのメカニズムが解明されたと同時に、免疫抵抗性を獲得しているがん細胞の一部に対して、抗PD-1抗体薬や抗CTLA-4薬などの免疫チェックポイント分子阻害薬を用いることで治療効果があることが報告されている。大腸癌においてはPD-1/PD-L1をブロックするメカニズムを用いた免疫チェックポイント分子阻害薬の効果は極めて限定的であることが知られており、本実験ではまずMSI-H大腸癌におけるPD-L1発現と臨床病理学的因子の相関に関して大腸癌症例499例のうちMSI-H症例48例、MSS症例451例を傾向スコアマッチングしたMSI-H46例、MSS46例として検討した。この結果MSI-H症例におけるPD-L1発現例において低分化、脈管侵襲陽性という予後不良因子を有することが明らかになった。またPD-L1発現の局在は腫瘍細胞のみならず間質細胞にもみられた。さらにPD-L1, CD8, CD68陽性細胞の局在に関して検討を進めた結果MSI-H症例では、腫瘍先進部の腫瘍細胞及びM2マクロファージにPD-L1が発現していることが明らかになった。他方MSS症例ではそのような発現が見られずMSI-H症例において、抗原提示、腫瘍免疫反応が腫瘍先進部において行われていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初目標とした大腸癌症例に対し各種抗体を用いた免疫組織化学染色による検討より実験を遂行している。この結果腫瘍免疫にかかわるMSI-H症例におけるPD-L1発現が主要先進部に集中しているという特徴のあることがあきらかになった。他方癌幹細胞マーカーであるCD44v9に関する検討に関しては評価方法によって異なる結果が生じることから、現在上皮間葉系移行にかかわるE-CADとの関連について追加検討を行っているところである。また制御性T細胞に関しては免疫染色に関して条件設定を行っているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
制御性T細胞の条件設定を確定し、染色並びに評価を推進していくことでPD-L1発現、MSI状況との関連を明らかにすることが可能になると考えられる。またCD44v9はE-CADの発現と併せて検討を行うことで癌幹細胞から上皮間葉系移行に至るメカニズムに関する検討を行う。また大腸癌臨床検体における3D微小環境立体構築モデルの作成に着手し立体的な発現解析を行うことで発現局在のより詳細な解明を行う。
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Causes of Carryover |
研究を進めていく上で必要に応じて施行した。当初の見積額と異なったが、研究計画に変更はなかった。当初の予定通りに研究を行うが、研究推進の為には、本年度の 繰り越しを含めて研究費が必要である。 次年度も予定通りに研究を行う。
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