2017 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of defined factor of de-differentiation of colon cancer stem cells
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17K16573
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
高橋 あかり 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (80457697)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 大腸がん / がん幹細胞 / メチル化 / 脱分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究に先立ち、ヒト大腸がん株 SW480 を用いてがん幹細胞の分離を行った。Side population (SP) 細胞として分離された細胞群は、免疫不全マウスにおいて高い造腫瘍能を示し、がん幹細胞が濃縮されていることを確認した。がん幹細胞と非がん幹細胞の分化、脱分化経路を単細胞レベルで解析する為、SP細胞および非がん幹細胞である main population (MP) 細胞から単細胞由来のクローン株を作成した。SPクローン細胞は高い造腫瘍能を示し、がん幹細胞株であることが確認された。一方では、MP クローン細胞は造腫瘍能が低く、非がん幹細胞株である事が確認された。MP 細胞は in vitro 培養で極めて安定した形質を示し、3か月培養を行っても SP 細胞が出現する事はなかった。すなわち、非がん幹細胞はin vitro 培養においてがん幹細胞への脱分化を示さなかった事になる。単一遺伝情報を有するがん細胞株から、形質の異なるがん幹細胞および非がん幹細胞が生じる為に、エピジェネティックに制御される因子が関わると考えた。我々は、MP細胞をメチル化阻害剤およびヒストン脱アセチル化酵素阻害剤で処理した。その結果、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤処理において、SP細胞出現はみられなかったが、メチル化阻害剤において、SP細胞の出現がみられた。本結果は、大腸がん脱分化において、ゲノムの脱メチル化が関与している可能性を示唆する。今後、ゲノムメチル化により発現制御される、大腸がん脱分化に関わる遺伝子検索を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究過程において、MP クローン細胞(クローン B, D, K)を脱メチル化剤処理により SP 細胞が出現することを確認した。本結果は、SW480 細胞の脱分化は、複数のクローンでみられる一般化された現象であることを示唆する。MP 細胞脱分化経路を探る上で極めて重要な確認作業を完了することが出来たと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
複数のMP細胞クローンを脱メチル化剤で処理後、どのような遺伝子発現変化がみられるかを、cDNA マイクロアレイ法にて探索する。候補遺伝子が得られた場合、RT-PCR法、qRT-PCR法にて遺伝子発現を確認する。候補分子を数個まで絞り込めた場合は、遺伝子過剰発現および siRNA を用いた遺伝子ノックダウン法にて、がん細胞の分化、脱分化にどのようにかかわるか分子レベルでの検討を進める。
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