2018 Fiscal Year Research-status Report
大腸癌におけるタキサン系抗癌剤への感受性を期待しうる症例の同定に関する検討
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17K16580
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
岡澤 裕 順天堂大学, 医学部, 助教 (10794604)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 大腸癌 / DNAメチル化 / 抗癌剤感受性 / タキサン / CHFR / リキッドバイオプシー |
Outline of Annual Research Achievements |
【方法】手術施行した大腸癌を対象とし,(1)原発巣癌組織(n=29)および(2)血漿中遊離DNA(n=70)におけるCHFR遺伝子の相対的DNAメチル化レベル(Relative methylation value:RMV)を測定し,臨床病理学的因子との関連性について検討した.(1)原発巣癌組織におけるDNAメチル化レベルの測定には癌組織からDNAを抽出後にbisulfite処理を行い,定量的メチル化特異的PCR(qPCR)で測定した.得られたDNAメチル化レベルの結果とHistoculture drug response assay (HDRA) 法を用いて得られたpaclitaxelによる大腸癌腫瘍制御率との相関を検討した.(2)血漿中の遊離DNAメチル化レベルの測定には術前に採取した血漿2mlを用いた. 【結果】(1) 原発巣癌組織におけるCHFR-RMVの中央値は2.5%であった.CHFR-RMVとpaclitaxel大腸癌腫瘍制御率との間に有意な相関はみられなかった.(2) 血漿中遊離DNAメチル化レベルでは、静脈侵襲,リンパ節転移,肺転移を認める症例では認めない症例よりもCHFR-RMVが有意に高値であった(各々p=0.01, p=0.01, p=0.02).また,最終病期がStage IVの症例ではStage I, II, III症例よりもCHFR-RMVが高い傾向がみられた(p=0.08).一方,他の臨床病理学的因子では有意差は認められなかった.また,術前血清CEA値とCHFR-RMVの相関は認めなかった(R=0.06,p=0.66). 【結論】本検討により,血漿中遊離DNA におけるCHFR-RMVと血行性転移,特に肺転移との相関の可能性が示唆された.一方,原発巣癌組織におけるCHFR-RMV測定の意義に関しては,さらに症例を集積し,検討していく必要性がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに上記結果を得ており,さらなる症例集積を予定している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後,さらなる症例集積を予定しているが,DNAメチル化とPaclitaxelへの感受性の相関に有意差が見られなかったことより,感受性に関わる他の因子の同定も必要と考えている.例として,遺伝子変異の有無や抗癌剤耐性に関わる遺伝子(Multidrug resistance:MDR)などの発現の有無を調べる必要性があると推定しており,多方面からのアプローチが必要であると考えている.
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Causes of Carryover |
症例集積が予定より若干遅れていた時期があり,その結果,次年度使用が生じることとなった.今後は,さらなる症例集積を進め,また,他の遺伝子発現の解析などの多方面からのアプローチも同時に進めることに注力し,その費用に充てさせていただく予定である.
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