2019 Fiscal Year Research-status Report
ゲノムワイドDNAメチル化解析を用いた大腸SM癌における所属リンパ節転移予測
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17K16581
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
水越 幸輔 順天堂大学, 医学部, 助教 (20794605)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 大腸癌 / DNAメチル化 / 網羅的解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究内容は,「大腸粘膜下層(SM)浸潤癌の所属リンパ節転移の有無をDNAメチル化の程度を解析することで予測できないか?」 というものである.現治療ガイドラインでは,SM浸潤癌は内視鏡的切除を施行しても,浸潤距離1000μm以上の場合,所属リンパ節(LN)転移の可能性があるため,浸潤距離や脈管侵襲など病理学的因子をもとに追加腸管切除の適応が決められている.しかし,実際は,追加腸管切除を行なっても10%の症例でしかLN転移は認められないため,90%の症例ではover-treatmentとなってしまい,病理学的因子以外で、LN転移の有無を判別できる因子の探索が求められている.DNAメチル化の評価により,所属リンパ節転移の有無が予測することが出来るようになれば,大腸SM癌内視鏡的切除後症例における追加腸切除が必要な症例の絞り込みが可能となり,同時に不要な追加腸切除を回避出来るため,患者の利益のみならず医療経済的にも有益である. そこで,年齢や性別,占居部位やSM浸潤距離など臨床病理学的因子など背景を極力揃えた上で,LN転移有無別に12例ずつ(training cohort: 計24例)を用いて,EPIC Beadchipを用いて遺伝子網羅的(85万のCpGサイト)に2群間比較を行なった.その結果,DiffScore 30以上(≒p<0.001)であるCpGサイトが5万個以上特定された.この中から候補となるgeneをいくつかピックアップして,validationを行ない,最終的にはLN転移の有無を判別できる因子の特定を行なう予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までに,EPIC Beadchipを用いて遺伝子網羅的に2群間比較を行なった. その結果,DiffScore 30以上(≒p<0.001)であるCpGサイトが5万個以上特定された. 現在,特定された5万個以上のCpGサイトの中から,正常組織ではメチル化されておらず,また,少なくとも2つ以上連続したCpGサイトのうち,感度,特異度が共に高くなるようなcriteriaを満たすようなマーカーの抽出が必要であると考えている. 現在,validationに使用する検体も集積中である.
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Strategy for Future Research Activity |
上記結果を得ており,今後,他施設の検体を用いて,抽出した因子によってリンパ節転移の有無を判別できるかのvalidationを行う予定である.Validationの方法としては,改めて遺伝子網羅的に解析を行うか,あるいは,特定の遺伝子に絞ってpyrosequence法を用いてDNAメチル化の程度を測定するか,のいずれかが考えられるが,現在,検討中である. 現在,validationに使用する検体も集積中である.
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Causes of Carryover |
ゲノムワイドDNAメチル化解析にかかる費用が予定よりも少なかったため,当該使用額が生じた.今後予定している,validationの際には多くの試薬が必要になると考えられ,その費用に当てさせていただく予定である.
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