2017 Fiscal Year Research-status Report
感染に起因する術後膵液瘻発生メカニズムの解明と感染制御の確立
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17K16583
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
瀧下 智恵 東京医科大学, 医学部, 助教 (60774544)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 膵液瘻 / 細菌感染 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵切除の合併症である膵液瘻の発生は様々な対策がとられてるにもかかわらず未だ発生率が高い.膵液瘻発生率を減少させるべきあらたな治療戦略として細菌感染と膵液瘻の発生メカニズムに着目し,そのメカニズムの解明・および周術期感染制御システムの確立を目的として本研究を計画した. 平成29年度より膵頭十二指腸切除後の腹水排液の培養を行うことで,膵液瘻と関連性の高い細菌の同定を行っている.術後の腹水培養からはEnterococcus faecalisやEnterococcus faeciumの検出が多く,これらがどういった場合膵液瘻に至るかどうか,さらに,それらの細菌感染がどこから由来するかの解明が必要である.術前の胆管炎が術後の膵液瘻に関連するかどうかをみるため,術前胆汁培養が採取できる場合には胆管炎の起炎菌についても同定を行っているところである.術前胆汁培養で菌が検出される場合は術後の腹水培養の結果と同様になることがあり関連が示唆される.これらの菌が術後の細菌培養とどのように関連があるかをより明確にする必要がある.平成30年度も引き続き症例数を増やし,解析を行い細菌感染制御法を検討する.さらに術式による膵液瘻の発生率(膵頭十二指腸切除と尾側膵切除,開腹手術と腹腔鏡手術など)の違いなどもみていく予定である. 現時点で細菌の検出,メカニズムの解明を行なっているところであり,これらの結果を踏まえ今後臨床応用をすべく感受性の期待できる抗生剤を早期投与に関しては臨床試験を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
PCRによる遺伝子亜型同定に関してはシステムを構築中であり倫理委員会での承認を得て行なう予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
細菌培養に加え,細菌の遺伝子学的亜型を同定する.膵液漏出の際の細菌増殖に至るメカニズムの解明として,腹水を培地としin vitroにて各細菌の菌の増殖を評価し免疫機能との関連性,膵液成分との関連性,炎症性サイトカインとの関連性を検討する. さらにこれらの研究から臨床応用として抗生剤の投与に関して臨床試験を予定する.
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Causes of Carryover |
倫理委員会での承認を得た上で,PCR検査等を行なうため初年度実施できていない実験などがあったため,次年度使用となった.実施できなかったPCR検査,細菌培養,膵液成分分析にかかる物品費用,および細菌遺伝子亜型と膵液瘻の関連のデータの解析のための費用として使用予定である.
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