2017 Fiscal Year Research-status Report
慢性心筋梗塞に対する自家iPS細胞を用いた心筋再生療法の開発
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17K16589
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
市村 創 信州大学, 医学部附属病院, 医員 (40749115)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 心筋再生療法 / iPS細胞 / 霊長類 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. in vitro: カニクイザルiPS細胞由来心筋細胞の作製 フィリピン産カニクイザルから計5頭分の自家iPS細胞を作製し染色体検査、免疫染色、奇形腫形成試験を行い、動物実験に使用可能なiPS細胞を凍結保存した。当初、移植細胞の標識を、免疫原性が低いと思われる蛍光標識抗体PKH-26を用いて行う予定であったが、組織摘出後のパラフィン包埋、染色の過程で蛍光標識物質が組織から溶出してしまうことが判明した。そのほかの標識物質も模索したが、3ヶ月間の長期標識に耐えうるものは見当たらなかった。また、Bromodeoxyuridine (BrdU)についてはあくまで補助的な手段と考えているため、細胞分裂能が不明なiPS細胞由来心筋細胞のグラフト標識をBruU単独で行うことは難しいと判断した。 こうした経緯から、免疫原性は危惧されるものの、以前の同種移植実験に用いた蛍光カルシウムセンサーであるGCaMPを遺伝子導入し、標識物質とすることとした。現在、5頭分のiPS細胞への遺伝子導入、ならびに心筋分化誘導後のGCaMP蛋白発現の確認試験を行っている。
2. in vivo試験 上記1. で記述したとおり、標識物質にGCaMPを用いることとしたため、新摘出後の機能評価にランゲンドルフ心灌流法を用いたグラフトーホスト間の電気的結合評価を行うことが可能となった。そのため、カニクイザルへの移植前にGCaMP遺伝子が導入されたiPS細胞由来心筋細胞が、in vivo環境下で機能するかを小動物への移植実験で評価した後、カニクイザルへの移植を行うこととした。現在実験準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
標識物質の変更に伴い、平成29年度の実験計画に遺伝子導入実験および小動物への移植実験が追加された。 そのため、当初予定していた動物実験の開始時期がやや遅れることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子導入実験は概ね順調であるため、平成30年度中のカニクイザルへの移植実験を開始予定としている。GCaMPタンパクの免疫原性、ならびに自家移植での免疫反応についての評価を、まず1頭での予備実験にて行い、その後残りの動物実験を実施する予定である。 動物実験開始以降は予定通りの経過となるため、助成期間である3年以内の実験終了については可能であろうと判断している。
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Causes of Carryover |
試薬単価が大きく、残額で購入できる必要資材がなかったため。 次年度使用額を持ち越し、次年度の予定使用額と併せて抗体、遺伝子導入実験試薬等を購入する予定である。
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