2017 Fiscal Year Research-status Report
がん微小環境における炎症性サイトカインに着目した肺がん分子標的薬治療抵抗性の克服
Project/Area Number |
17K16608
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
枝園 和彦 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (30708079)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 非小細胞肺癌 / 薬剤耐性 / 分子標的薬 / がん微小環境 / 炎症性サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
非小細胞肺がんに対して、発がんに関わるドライバー遺伝子異常を標的とした様々な分子標的治療薬が開発され既に臨床応用されているが、その効果は未だ不十分である。これらの治療抵抗性の原因としては、がん細胞の遺伝子に生じる二次的な変化を中心とした遺伝子が原因となる機序の他に、上皮間葉移行(EMT)に代表されるような、主にがん微小環境が要因と考えられる遺伝子に変化を来さない機序の存在が徐々に明らかになっている。本研究では、遺伝子に変化を来さない治療抵抗性機序の一つであるがん微小環境における炎症性サイトカインとその下流分子の関与に着目し、肺がん分子標的治療抵抗性の克服に向けた新規治療法を開発すること目的としている。初年度では申請者らが既に樹立した分子標的薬耐性肺がん細胞株を用いて、薬剤耐性化機序を検討した。これまでに報告のあるような特定遺伝子のコピー数増幅といった遺伝子変化が原因と考えられる耐性化機序が認められた一方で、既知の耐性化機序では説明不可能な耐性化機序を示す細胞株を複数同定した。これらの細胞株の一部では、薬剤耐性化後にEMT様変化とともに炎症性サイトカイン関連遺伝子の発現亢進を認めており、特定の分子標的薬投与が発現亢進のトリガーとなっていることを突き止めた。また、がんの微小環境を構成するがん関連線維芽細胞がこれらサイトカインと密接な関係を持つことも同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度中に予定していた薬剤耐性細胞株のピックアップと耐性化機序の解析を行い、既に耐性化に関わるいくつかの候補分子を特定した。当初予想通り、炎症性サイトカインがこれらの薬剤耐性化に深く関わっていることが判明しており、今後薬剤耐性克服に向けた詳細な検討を続ける予定である。また、これまでに得られた知見の一部は既に学術集会等で発表を行っており、研究は順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた知見をもとに、薬剤耐性に関わる炎症性サイトカインと下流分子の活性化について詳細に検討を行い、分子標的薬治療抵抗性のメカニズムを解明する。特に、これまでの検討で判明した経路を活性化させる具体的な因子の同定を、がん微小環境に着目しつつ行う。また、実際の臨床検体でも細胞株レベルで判明したのと同様の変化が起きているかを確認する。さらに、これらの薬剤耐性化に関わる分子および下流経路を効果的に阻害する薬剤を同定し、分子標的薬と併用することで、治療抵抗性を克服できる可能性を追求する。
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Research Products
(3 results)
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[Presentation] HER2遺伝子異常肺癌に対するマルチキナーゼ阻害剤Afatinb耐性獲得機序の解明2017
Author(s)
鳥越 英次郎, 枝園 和彦, 吉岡 貴裕, 難波 圭, 佐藤 博紀, 山本 寛斉, 宗 淳一, 浅野 博昭, 冨田 秀太, 佃 和憲, 豊岡 伸一
Organizer
第58回日本肺癌学会学術集会
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