2018 Fiscal Year Research-status Report
網羅的遺伝子発現解析技術を用いたKRAS変異肺癌における新規バイオマーカーの探索
Project/Area Number |
17K16613
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
山浦 匠 福島県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (20747240)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | FAM83B / KRAS / 肺癌 / 肺腺癌 / EGFR / PD-L1 |
Outline of Annual Research Achievements |
KRAS遺伝子は肺癌の実地臨床で検索が行われることのない遺伝子変異であるため、まず肺腺癌において最も多い遺伝子変異であり広く検索されているEGFR遺伝子変異の有無について症例を層別化してFAM83B発現を解析した。EGFR遺伝子変異陰性例において有意にFAM83BはメッセンジャーRNAレベルで高発現であることをcDNAマイクロアレイの結果から確認した。また、ヒト肺腺癌由来細胞株を用いた検証を行い、FAM83B高発現株、低発現株双方においてFAM83B発現をsiRNAを用いてノックダウンしたところ、増殖が有意に抑制される結果を得た。FAM83B発現がEGFR遺伝子変異陰性肺癌における発癌や腫瘍の細胞増殖へ関与している可能性があることが考えられた。文献的には正常細胞でもFAM83Bは低レベルでの発現があり、また、低発現細胞株でもノックダウンでの増殖抑制が確認されることから、FAM83Bは正常細胞の恒常性維持や増殖に関与している可能性があると考察された。これらの結果は第117回日本外科学会定期学術集会(2017年4月27-29日、横浜)、第53回米国癌治療学会議(2017年6月2-6日、シカゴ)で報告し、Oncology Letters (2018 Feb;15(2):1549-1558. doi: 10.3892/ol.2017.7517. Epub 2017 Dec 5) に論文投稿し報告し、今後も前向きに症例の蓄積を予定する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
EGFR遺伝子変異の有無で層別化し発現を解析したところ、EGFR遺伝子変異陰性例において有意に高発現であり、またヒト肺腺癌由来細胞株においてFAM83B発現をsiRNAを用いてノックダウンしたところ、増殖が有意に抑制される結果を得ており、FAM83BがEGFR遺伝子変異陰性肺癌における発癌に関与している可能性があると考察された。今後はKRAS遺伝子変異を含む他の遺伝子変異との発現の関連性についても検討する方針とし、症例と臨床腫瘍検体を集積している。
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Strategy for Future Research Activity |
EGFR遺伝子のほか、既知の発癌遺伝子変異であるKRAS遺伝子変異、ALK融合遺伝子をはじめとしたドライバー遺伝子変異症例の抽出、症例集積を進める。また、副次的にKRAS遺伝子変異肺癌やドライバー遺伝子変異陰性肺腺癌において治療の効果が期待される免疫チェックポイント阻害薬療法のバイオマーカー検索を、臨床腫瘍検体からの遺伝子・タンパク抽出や腫瘍浸潤リンパ球の分離、フローサイトメトリーを通じて行う。
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Causes of Carryover |
検査、実験の進捗状況により支出額の差異が生じた。
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Research Products
(5 results)