2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K16625
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
原 彩佳 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (90792705)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 膠芽腫 / NKT細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍局所における抗腫瘍効果発揮メカニズムの解明のため、膠芽腫と診断された患者の末梢血および手術時に摘出された腫瘍組織を用いて、各種免疫細胞の機能解析を行った。千葉大学医学部附属病院脳神経外科を受診し膠芽腫の診断が得られた患者に同意を得て、術前に末梢血を採取し、単核球を比重分離した後に、フローサイトメトリーによりT細胞、NK細胞、NKT細胞などのリンパ球サブセットを同定した。同時にPD-1などの共刺激・抑制分子の発現解析を行った。さらに手術により摘出された膠芽腫の腫瘍浸潤リンパ球サブセットをフローサイトメトリーおよび免疫染色にて同定するとともに、共刺激・抑制分子の発現解析を行った。平成30年4月までに30例の解析が終了している。 膠芽腫に対するNKT細胞を用いた免疫療法の有効性検討のため、重度複合免疫不全マウスであるNOD/Shi-scid IL-2RγKOマウス(NOGマウス)にヒト膠芽腫由来の細胞株U87を安定して頭蓋内に移植することが可能となり、ヒト膠芽腫モデルを作成した。 ヒト膠芽腫由来の細胞株U87に対するNKT細胞の細胞傷害活性をin vitroで確認した後に、ヒト膠芽腫モデルの頭蓋内にNKT細胞を投与した。腫瘍浸潤リンパ球を回収して経時的な解析を実施した結果、腫瘍浸潤リンパ球におけるNKT細胞は経時的に減少を認め、4週間後にはNKT細胞の大幅な減少を確認した。さらに抗腫瘍効果についてCT画像および生存期間により評価した。これまでに、NKT細胞投与による明らかな抗腫瘍効果の発揮を認めていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
活性化NKT細胞はヒト膠芽腫由来の細胞株U87に対して、in vitroでの細胞傷害活性を示すことを確認したが、ヒト膠芽腫マウスモデルに対してはNKT細胞の直接の抗腫瘍効果の存在を確認できていない。現在はヒト膠芽腫マウスモデルにNKT細胞を投与した際の腫瘍浸潤リンパ球中における動態およびその機能の解析を継続している。
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Strategy for Future Research Activity |
腫瘍局所における抗腫瘍効果発揮メカニズムの解明のため、膠芽腫と診断された患者の末梢血および手術時に摘出された腫瘍組織を用いて、NKT細胞を中心とした各種免疫細胞の機能解析を継続して行っていく。 また、ヒト膠芽腫由来の細胞株を頭蓋内移植して作成したヒト膠芽腫モデルにNKT細胞を投与したが、これまでのところNKT細胞の抗腫瘍効果を確認できていない。今後は活性化NKT細胞を投与したヒト膠芽腫マウスモデルにおける抗腫瘍免疫機構の抑制メカニズムを明らかとし、抗腫瘍免疫作用の抑制を打破する方法を探索する。
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Causes of Carryover |
平成29年度は国際学会に参加せず、予定していた旅費を使用しなかったため、次年度使用額が生じた。平成30年度分と合わせて、実験動物や分子生物学試薬等の購入、論文の作成の費用に用いる。
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Research Products
(1 results)