2018 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the Aquaporin-1 expression in the cell group of Glioblastoma
Project/Area Number |
17K16634
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大石 正博 金沢大学, 附属病院, 医員 (50646693)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アクアポリン1 / 脳腫瘍 / Glioblastoma / 浸潤 / 血管新生 / 解糖系 |
Outline of Annual Research Achievements |
Aquaporin1(AQP1)は発見当初は選択的に水のみを通すチャネルと考えられていたが、近年細胞骨格の変化やがん細胞の遊走・浸潤、血管新生にも関与することが報告されている。脳腫瘍の領域では、AQP1の発現が腫瘍の浸潤能や遊走能に関わる、AQP1の発現量と神経膠腫の悪性度が比例する、AQP1欠損マウスでは脳腫瘍の増殖が抑制される、などの機能が報告されている。しかしその分子メカニズムに迫った報告は少ない。AQP1の発現意義に関しては、悪性神経膠腫細胞ではエネルギー源であるグルコースの代謝(解糖系)により乳酸アシドーシスが生じて、それによる細胞性浮腫を緩和するためにAQP1が増加、周囲の血管新生を促進することを、研究協力者が報告している。血管新生は腫瘍増大に関与する最大の要因であり、その制御因子に関して多数の報告があるが、グルコース代謝に関連した報告は少ない。本研究はGlioblastomaにおけるAQP1の発現意義および細胞機能への影響を解明し、AQP1の発現を制御することで新たな治療戦略としての可能性を見出す試みである。 まずGlioblastomaの病理検体に免疫染色を行い、腫瘍細胞および腫瘍内血管内皮細胞におけるAQP1の発現、局在評価を行った。続いてヒト由来glioblastoma細胞株および血管内皮細胞株を用いて、in vitroでAQP1の発現が腫瘍細胞および血管新生に及ぼす影響を評価した。AQP1の過剰発現により腫瘍細胞の遊走能および浸潤能は亢進し、血管内皮細胞の管腔形成にも影響を及ぼす結果が得られた。さらにAQP1の過剰発現は腫瘍細胞において、THSD7Aの発現レベルを低下させ、その他浸潤に関わる因子を亢進させた。 AQP1が腫瘍細胞の遊走能・浸潤能を亢進させ、THSD7Aを抑制し血管内皮細胞の管腔形成を変化させ、腫瘍の悪性度に関与していることが示唆された。
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