2017 Fiscal Year Research-status Report
器質的疾患としての脳卒中後うつ状態の解明と治療法の開発
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17K16638
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
江頭 裕介 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 助教 (50547677)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 白質神経傷害 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスを用いた動物モデル(クモ膜下出血モデルおよび両側頚動脈狭窄による慢性低灌流モデル)において、慢性期の白質傷害を安定して惹起することができるようになった。予想通り白質傷害によって粗大な神経症状がほぼ発生しないことや、死亡率が少ないことも確認された。ただし、これまでの研究成果とも傾向としてよく合致するが、白質傷害の程度には個体差が大きい。このため現時点では軸索、髄鞘の傷害といった免疫組織学的所見と実際の症候との間に関連性を見出すまでには至っていない。さらに、亜急性期(14日後)から慢性期(1ヶ月以降)における認知機能評価、行動機能評価においても一定した結果を得るには至っていない。白質傷害の経時的な進行やその程度にも個体差があるものと推定され、評価時期や評価方法についての再検討が必要であると考えている。 一方、臨床例についてもクモ膜下出血後慢性期に白質傷害が発生、進行し得ること、慢性期の白質傷害と軽微な後遺症状や日常生活動作の低下とが相関している可能性が見出された。本研究で注目していた「これまで軽視されがちであった脳卒中後の軽度の精神神経症状と慢性期白質神経傷害」との関連を強く示唆する所見と考えられる。 これまでの研究成果は、日本脳循環代謝学会総会、スパズムシンポジウムといった全国規模の国内学会にて発表した。研究成果の一部は現在和文ではあるが論文化を進めており、近日中に投稿予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動物モデルにおける白質傷害は安定して惹起することができている。しかしながら、白質傷害惹起後の慢性期の神経症状や生存期間に個体差が大きく、安定して慢性的なうつ状態を観察し、定量的に評価できるまでには至っていない。引き続き評価時期や手法など、本研究を進める上で最適と考えられる実験手法の確立に努める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的を達成するため、引き続き動物モデルで安定した評価方法を確立するための検討を継続する。一方、臨床例において脳卒中後慢性期の軽微な神経症状や日常生活動作の低下に白質神経傷害が関与している可能性を見出している。このため、臨床例においても画像所見、臨床症状と白質傷害の関連性を追求する。臨床データからより照準を絞った基礎研究ターゲットを見出し、効率的に基礎研究を継続していく方針である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じているが、少額であり、ほぼ予定通りであったと考えている。次年度も予定通りに動物、抗体などの試薬に使用する。
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Research Products
(1 results)