2018 Fiscal Year Research-status Report
Intraoperative rapid and sensitive detection of genetic alterations in lower-grade gliomas
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17K16643
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
青木 恒介 名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (10759773)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 神経膠腫 / 遺伝子異常 / 術中迅速診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年に改訂されたWHO分類において、WHOグレード2及び3の成人びまん性神経膠腫(diffuse lower-grade gliomas、以下LGGs)はIDH1/2変異と1p/19q共欠失の有無により3群へ分けるという遺伝子異常に基づく病型分類が採用された。今後は個々のLGGs腫瘍に対し遺伝子解析を正確に行い、それに基づく層別化医療を行うことが求められる。研究代表者は以前、IDH1R132H変異を短時間で検出できる装置(immuno-wall)を開発し、手術中に摘出した腫瘍検体を用いて変異を高精度に検出できることを報告した。本課題では、IDH1変異の他に病型分類に必要なIDH2、TERT promoter, TP53, ATRX変異を検出するimmuno-wallを開発し、LGGsの病型診断と正確な予後予測に必要な遺伝子異常情報を、手術中一度に短時間で解析できるようにすることが目的である。昨今、ATRX変異が1p/19q共欠失とは相互排他的であり、病型分類のサロゲートマーカーとして用いようという機運が世界中で高まっているが、ATRX変異と1p/19q共欠失の関係について詳細な検討はなされていない。研究代表者はまず、遺伝学的背景が明らかな78例のLGGsに対し、ATRXに対する免疫染色を行った。その結果、ATRX変異をサロゲートマーカーとすると、14%の腫瘍で遺伝子異常に基づく分類とは異な病型に分類をしてしまうため、ATRX変異単独での病型分類は適切ではないことを報告した(Yamamichi et al, Brain Tumor Pathology, 2018)。ATRXだけでなく、TERT promoterやTP53変異も同時に解析することで、より正確な病型診断が可能となると判断され、現在それらの変異を短時間で検出できる装置(immuno-wall)を開発中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ATRX変異と1p/19q共欠失との関係を明らかにすることで、正確な遺伝子診断を行うためにimmuno-wallで標的とすべき遺伝子を決めることが出来ている。しかしながら、機器の開発自体にはまだ至っておらず、全体としてはやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは臨床腫瘍検体を用いたIDH2遺伝子変異、TERT promoter、TP53、ATRX 変異の迅速診断技術を確立する。従来法であるサンガーシークエンスによる変異解析を行い、結果を比較する。また術中に腫瘍検体を用いて腫瘍中心部や辺縁部等で数か所からサンプリングを行い、解析する検体の部位と解析感度を照合する。また、上記解析の対象となった同一腫瘍組織の残検体を用いて、同定された遺伝子変異があることをamplicon sequencingにて確認する。その上で実際の手術検体を用いて、術中診断を行うことを目指す予定である。
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Causes of Carryover |
予定通り必要物品の購入及び海外学会参加のための旅費として支出を行なったが、次年度使用が発生した。翌年度は繰越分を含め、当初の予定通りimmuno-wallの開発等に資金を使用する予定である。
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