2018 Fiscal Year Annual Research Report
Methylation dependent down-regulation of G0S2 leads to suppression of invasion and improved prognosis of IDH1-mutant glioma
Project/Area Number |
17K16644
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福永 貴典 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (30745005)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 神経膠腫 / G0S2 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経膠腫は難治性原発性中枢神経系腫瘍であり、最も悪性度が高い膠芽腫の平均生存期間は16.8ヶ月と短い。二次性膠芽腫は、de novo膠芽腫に比べてイソクエン酸脱水素酵素(IDH)変異を多く認め、予後が良いことが知られていたが、IDH変異群で予後が良い機序は解明されていなかった。IDH変異神経膠腫では、DNAプロモーター領域の高メチル化(G-CIMP)を認め、G-CIMPではG0S2遺伝子の発現が低下していることが過去に報告された。G0S2は細胞周期を進行させる遺伝子として同定され、他癌腫では、G0S2の発現が低下し、浸潤が抑制されたことが報告されている。しかし、G0S2の神経膠腫の病態に対する寄与は明らかになっておらず、本研究では、神経膠腫におけるG0S2の役割を解析し、IDH変異型が予後良好である理由の一端を解明することを目的とした。昨年度までにThe Cancer Genome Atlasを解析し、神経膠腫ではIDH変異型でG0S2発現が低下し、悪性度が高いほど発現量が増加しており、G0S2低発現群で予後が良いことを解析により得た。さらに、実際の神経膠腫検体を用いてIDH変異型ではG0S2の発現が低下し、神経膠腫細胞株のG0S2の発現を低下すると浸潤能が抑制されることを同定した。最終年度では、G0S2の発現を低下した神経膠腫細胞株をマウスの脳内に移植し、正常群に比べて周囲の正常脳への浸潤が抑制され、生存期間が延長することを同定した。また、IDH変異で低下する脱メチル化酵素TET2を神経膠腫株に過剰発現させるとG0S2の発現が上昇することも同定した。以上より、IDH変異型神経膠腫では高メチル化によってG0S2の発現が低下して細胞浸潤が抑制され、予後が改善していると考えられた。さらに、これらの結果をまとめて英文雑誌に投稿し、掲載された。
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Research Products
(1 results)