2017 Fiscal Year Research-status Report
クローン進化説に基づいた神経膠腫遺伝子の空間的多様性の解析と治療選択モデルの構築
Project/Area Number |
17K16646
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
梅原 徹 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (20792469)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 神経膠腫 / 遺伝子 / 不均一性 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究同意のもと臨床サンプルを得た神経膠腫を対象に、腫瘍の遺伝子解析、病理学的検討、さらに臨床データとの比較を行った。腫瘍のサンプリングに関しては、Neuro-Navigation Systemを用いて、多点で定位サンプリングを行い、解剖学的位置情報を紐付けたライブラリーの作成を継続している。 遺伝子解析は凍結検体から抽出したDNAを用い、主要な遺伝子の点突然変異(IDH1/2・TERTプロモーター・TP53)、コピー数異常(EGFR・PTEN・CDKN2Aなど)、メチル化(MGMTプロモーター)の有無などにつき解析を行った。解析手法としては主にサンガー法、MLPA(Multiplex Ligation-dependent Probe Amplification)法、MSP(Methylation Specific PCR)法、パイロシークエンス法を用いた。個体間の解析においては共同研究施設からもサンプル収集を進めており、現在200例を超える分子統合解析データの集積が得られている。これまでの先行文献やTCGAデータとの比較や、生存解析、クラスター解析などの統計学的処理を進めている。 MGMTプロモーターのメチル化に関しては、CpGアイランドのメチル化の不均一性によって生じる検査手法ごとの判定結果のばらつきに着目し、定性的MSP(ゲル法)、定量的MSP(リアルタイムPCR)、パイロシークエンス法などの異なった手法での解析を進めている。各手法ごとのメチル化判定の感度や臨床的応用性について比較検討を行っている。 神経膠腫における時間的なクローン進化の過程を明らかとするため、同一腫瘍の初発、再発時の臨床サンプルから得られた分子生物学的プロファイルの比較を検討を進めている。さらに初発再発間で注目すべき差異を呈するペアを抽出し、マイクロアレイによる網羅的解析を追加している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
個体間における遺伝子解析は概ね順調に進んでいる。一方で、個体内における遺伝子の不均一性の評価が解析効率の観点で一定数をまとめて行う必要があるため、やや遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
個体間で得られている膨大な分子データと臨床情報から、統計学的処理のもと臨床的意義のある分子マーカーおよびその組み合わせを見出す。 個体内の不均一性の解析に関してはサンプル(マルチサンプリング、初発/再発)の収集を継続しており、一定数の蓄積が得られた段階で分子遺伝学的解析と解剖学的位置情報(物理的距離あるいは腫瘍内における相対的位置関係)との比較検討を行う予定としている。
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Causes of Carryover |
同一腫瘍内の複数部位での遺伝子や病理解析のためのサンプル準備に当初予定より時間を要している。解析効率の観点で、一定数の蓄積がされてから実施するため、そのための試薬購入が延期となり次年度使用額が発生した。次年度において解析が行われる予定であり、これに充当する予定である 。
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Research Products
(1 results)