2017 Fiscal Year Research-status Report
がん幹細胞を標的とした新規脳転移予防法・治療法の開発
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17K16647
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
阿知波 孝宗 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (00771908)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 転移性脳腫瘍 / 幹細胞マーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では脳転移に必要な遺伝子やがん幹細胞マーカーの発現と、実験系でがん幹細胞の脳転移能を検証することでがんの脳転移メカニズムを明らかにすることである。 転移性脳腫瘍の動物モデルの確立のため、まずは同種移植モデルとしてC57BL/6マウスに脳実質に生着するマウス脳腫瘍グリオーマ細胞株GL261の心腔内投与を行い、血液循環により脳実質への転移が起こるかを検討した。左室への1 × 10^5個の腫瘍細胞の投与により、接種から45日程で神経症状が出現し、脳切片では転移性脳腫瘍が確認された。同様の手技を用いて、免疫不全マウスにヒト悪性腫瘍細胞株を心腔内投与によって、転移性脳腫瘍を作成するために、脳への親和性が高い細胞株としてMDA-MB-231を用いて実験を行う予定である。 転移性脳腫瘍の手術摘出標本における幹細胞マーカー(CD44、CD133、CD166:ALCAM)の存在頻度と局在の評価のため、腫瘍試料の当該研究への使用について、当院倫理委員会への申請を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
転移性脳腫瘍の動物モデルではIn Vivo Imaging System (IVIS) を用いて腫瘍の生着の確認、評価を行う予定であるため、ルシフェラーゼ (Luc)の遺伝子導入をヒト悪性腫瘍細胞株(A549、SK-BR3)に試みたが、導入が困難であり、時間を要した。そのため、脳への親和性が高く、既にLucが導入されている細胞株MDA-MB-231-Lucを細胞バンクより購入し、今後の実験系に用いることとした。
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Strategy for Future Research Activity |
やや遅れて進捗はしているが、研究遂行において問題となる予期しない事象は発生していないため、予定通り研究計画に沿って進めていく。免疫不全マウスへのヒト悪性腫瘍細胞株の心腔内投与により、転移性脳腫瘍モデルを作成し、生着した細胞での遺伝子発現変化、幹細胞マーカーの変化をFACSやRT-qPCR、RNA sequenceにより解析する。 転移性脳腫瘍の手術摘出標本の使用について、当院倫理委員会の承認が得られたため、免疫組織染色及びRT-qPCRにより評価を行っていく。
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Causes of Carryover |
研究計画が予定よりも遅れて進捗しているため、購入予定であった試薬や動物について、購入を行わなかったことによる。これらは次年度に持ち越し、使用する予定である。
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