2017 Fiscal Year Research-status Report
テロメア長とmicroRNA解析による悪性脳腫瘍化学療法強度調整システムの開発
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17K16649
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高安 武志 広島大学, 病院(医), 医科診療医 (20760755)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 小児悪性脳腫瘍 / 悪性脳腫瘍 / 化学療法 / テロメア / 骨髄抑制 |
Outline of Annual Research Achievements |
化学療法による骨髄ダメージの指標として、白血球のテロメア長を用い、骨髄抑制の強さを予測することや、患者個別の最適な治療条件を見出すことを最終目標としている。 研究開始後より、実臨床において、髄芽腫や胚細胞性腫瘍といった、小児悪性脳腫瘍における手術加療、後療法からなる標準治療を提供しつつ、腫瘍標本による病理診断に加え、研究用の血液検体収集を継続している。具体的には、本研究開始後からの新規手術症例の小児悪性脳腫瘍で、後療法の適応となったものは8例あり、術前、化学療法中中間、化学療法後の節目で血液検体の採取を行った。これまでのところは検体収集中かつ、治療継続中で、テロメア長の解析はある程度の検体が集まった段階でまとめて行う方針としており、平成29年度中はその解析は行っていない。臨床データとして、化学療法ごとの白血球数、血小板数、ヘモグロビン値などの血液データの推移や、化学療法休止期間の長短、体重変動などのデータ収集は継続している。 新規小児悪性腫瘍の症例のみでは、症例数が少ないため、成人の悪性グリオーマにおいても、手術および放射線治療、抗がん剤治療が行われることから、術前、化学療法前、維持療法中などの血液検体を採取し、テロメア長解析に備え、臨床データの収集も行っている。 副次研究として小脳髄芽腫における化学療法では、やせ型体型にある患者ほど、骨髄抑制が強く発現する傾向にあり、薬剤量が減じられ、治療間隔も延長する傾向にあることを、過去の症例も含めた検討で見出した。 また、小児脳腫瘍の画像診断で、髄芽腫と上衣腫の鑑別における拡散強調像の有用性を検討し、成果を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
小児悪性脳腫瘍は希少疾患であり、小児のみでは本研究開始以降の新規手術症例は8例と、見込みよりも症例数が伸びていない。このため、成人の悪性グリオーマにおいてもデータ収集、血液検体収集を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度中には中間評価として、それまでに集まった血液検体における白血球テロメア長の解析を一旦は行う。収集した臨床データとの対比・分析により、成果・問題点の検討を加える予定である。 また、症例数が少ないために解析が十分に行えない場合は、過去の手術症例で、治療後の経過観察中の患者においても後方視的な観察も加える。説明と同意の上でご協力いただける場合は、血液検体の提供をうけ、テロメア長の解析を行い、治療中の骨髄抑制の程度との関連を解析する。過去の症例のため治療開始前の血液サンプルはなく、その時点のテロメア長のデータは得られないが、骨髄抑制とテロメア長との関連について、参考となるデータが得られる可能性がある。
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Causes of Carryover |
平成29年度は主に症例登録および解析実験の準備段階としたため、予定よりも使用額が少なく、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、今後の解析実験における消耗品費等に使用する。
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