2017 Fiscal Year Research-status Report
投与細胞の若返りを目指した脳梗塞に対する幹細胞移植投与方法の確立
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17K16654
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山口 将 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (70712131)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 脳梗塞 / 幹細胞移植 / preconditioning / 若返り |
Outline of Annual Research Achievements |
In vitroで検討を行った。細胞の若返りの方法として、低酸素でのpreconditioningによる細胞の変化と若返りの有無、栄養因子の増加の有無を検討している。低酸素チャンバー(Water Jacket Type Personal CO2 Incubator /Multi Gas Incubator(ASTEC))を用いて37℃、5% CO2、1% O2 、N2 94%の状況で人骨髄間葉系幹細胞を培養した。通常培養群(非低酸素培養)と比較し、低酸素培養群では低酸素培養5日目以降より細胞の密度が増加していることが分かり、低酸素による何らかの効果が出ていることが分かった。そこでどの時点がより低酸素の効果が出ているか、低酸素により効果があるとされるHIF1α、VEGF,EPOの増加の有無をPCRを用いて検討を行っているが、通常培養群と比較して有意な結果が得られていない。また、低酸素培養群と通常培養群において、その培養液を採取し、ELISAやLuminexにおける液性因子の検討を行うことも検討している。 若返りの評価のために、老化マーカーである酸化βガラクトシダーゼを低酸素によるpreconditioningを施した細胞を染色する準備を行っている。そのために、現在は細胞の固定の至適条件の検討している。 In vivoでの検討を行うにあたり、250-300g SD ratを用いて一過性脳虚血ラットの作成を行っている。ラットの左内頚動脈にシリコン付きナイロンを挿入し脳梗塞を作成。翌日にTTC染色で脳梗塞範囲を測定している。至適脳梗塞サイズをコンスタントに作成できるようになってきているために、今後、細胞移植を待つのみとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
In vivoの検討のための脳梗塞ラットの作成は予定通り進んでいるが、In vitroの検討による若返り細胞の作成に関しては遅れが見える。低酸素の条件設定において、培養細胞の死亡などがあり、条件設定に時間を要した。低酸素による幹細胞の液性因子の増加の評価をPCRで行ったが、結果が安定していない。また、そのために、その他の方法としてELISAなどの評価も考慮に入れ、再度培養液の検体採取に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、低酸素によるpreconditioningによる幹細胞の液性因子の増加の有無を検討するためにPCR以外の方法としてELISAやLuminexでの評価を予定。さらに評価項目を上記4つではなく、BDNFやPDGF-BB、IL-6, IL-10, TNF-αなども測定する。通常培養群と比較して液性因子やサイトカインの分泌に違いがある低酸素培養の時期において、若年者由来の幹細胞と高齢者由来幹細胞で酸化βガラクトシダーゼの染色を行い、老化マーカーに差があるか、液性因子もしくはサイトカインの分泌量と相関があるかを検討する。 次に至適条件で培養した骨髄間葉系幹細胞(PBS群、低酸素培養群(若年、高齢))を脳梗塞24時間後のSD ratに経内頚動脈的投与を行う。脳梗塞後21日目までmNSS, Whisker-paw test,Cylinder testを用いて神経学的評価を行う。その後、移植されたratの脳を摘出し、免疫組織学的検討を行い、効果の有無並びにその機序に関して検討を行うこととしている。
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Causes of Carryover |
低酸素による細胞の若返りの検討において、至適条件の決定に時間がかかっているために、当初の計画より遅くなっている。至適条件の決定後に、栄養因子やサイトカインの測定のためにLuminexやELISAの試薬の購入に充てる予定。
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