2018 Fiscal Year Annual Research Report
Comprehensive metabolic analysis in IDH1R132H glioma ; new metabolic biomarkers
Project/Area Number |
17K16659
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
宮田 五月 自治医科大学, 医学部, 講師 (10705445)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | イソクエン酸脱水素酵素 / アシルカルニチン / バイオマーカー / 神経膠腫 / MRS / β酸化 / 脂質代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳腫瘍においてイソクエン酸脱水素酵素変異を有すると予後良好である。この変異は白血病や大腸癌などでも指摘されている。ところが、予後良好であると指摘されたのは、脳腫瘍だけであり、他の癌腫では指摘されていない。予後良好の機序をまず解明した。 ①網羅的代謝解析を脳腫瘍細胞株と臨床腫瘍検体を用いて施行した。その結果、細胞株と比較して臨床検体ではアシルカルニチンの合成が低下していることを発見した。中枢神経環境においては、脂質合成が抑制されると言われている。イソクエン酸脱水素酵素変異を生じるとエネルギー産生が抑制されるが、その際に細胞株ではβ酸化により代償している。ところが、臨床腫瘍サンプルでは、アシルカルニチンの合成抑制からβ酸化が低下しエネルギー産生の代償がおきない。そのためエネルギーの枯渇を生じ結果として予後良好となる。この結果は、論文投稿をしている。また、この機序は、β酸化を抑制するという機序であり、他の癌腫でも適応とならないか検討中である。また、アシルカルニチンを抑制する薬剤について、治験を検討中である。 ②網羅的代謝解析の結果、新規バイオマーカーとなる物質を発見した。特許を取得している。脳腫瘍において、外科的手術をしないでイソクエン酸脱水素酵素変異を発見することが必要である。我々は、特異的上昇マーカー以外にもアシルカルニチンもバイオマーカー候補として検討している。 今後もさらなる研究が必要である。
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