2017 Fiscal Year Research-status Report
脳腫瘍幹細胞に対するDEPDC1を標的とした新規治療法の開発
Project/Area Number |
17K16661
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
菊地 亮吾 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (10594723)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | DEPDC1 / 脳腫瘍幹細胞 / ワクチン療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳腫瘍幹細胞に対する新規腫瘍抗原DEPDC1を標的とした治療法の開発を目的に研究を行った。本年度は、脳腫瘍幹細胞におけるDEPDC1の発現抑制の影響をin vitroおよびin vivoで調べた。 誘導脳腫瘍幹細胞(imBTSC)に対し、shRNAを用いてDEPDC1をknockdownした。作成したshDEPDC1-imBTSCのin vitroにおける増殖実験を行ったところ、DEPDC1を抑制することで、むしろimBTSCの増殖が促進された。次に、in vivoにおける増殖実験としてshDEPDC1-imBTSCをC57/BL6マウス脳に移植し、生存期間をcontrol群と比較した。腫瘍内でApoptosis/Necrosis細胞の増加が認められ、著名な生存期間の延長が確認された。免疫染色を行うと、CD4, CD8陽性のリンパ球が腫瘍周囲に増殖しており、DEPDC1の抑制が腫瘍の免疫寛容を阻害する可能性が示唆された。in vitroとin vivoでの差については今後研究を進める予定である。 並行して、ワクチンを用いた分子標的療法の開発を目的として、動物モデルの作成を行った。モデル抗原として、マウスglioma細胞であるGL261の腫瘍抗原であるGARC-1を用い、膠芽腫マウスモデルにおけるペプチドワクチンの投与効果を検討した。まずはGL261にGARC-1が発現しているかをPCRで確認した。次にGL261をC57/BL6マウス脳内に移植し、ワクチン皮下投与の効果検討を行うため、投与日を数種類設定し、control群とGARC-1ペプチドワクチン投与群での生存期間の比較を行った。ワクチンのアジュバントとしてはまずはMontanideを用いているが、ワクチンの作用にばらつきがあり、検討を重ねている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vivoでの実験については当初の計画どおり実験を行っており、脳腫瘍幹細胞におけるDEPDC1の機能解析を行った。in vitroの解析についてはin vivo解析と並行して今後行っていきたい。 並行して、脳腫瘍マウスモデルを用いたワクチンモデルを作成しているが、ワクチンの投与タイミングおよび、適切なアジュバントを得るため何度も実験を重ねている。当初考えていたよりも、モデルマウスの投与腫瘍細胞数や、ワクチンのタイミングおよびアジュバントの調整が難航している。 今後はまずはGL261を用いたモデルマウスの確立を行う。次にワクチン投与タイミングを前倒しし、またアジュバントとして破傷風トキソイドやPoly-ICを用いて実験を継続したいと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでDEPDC1の機能解析をすすめるため、in vitroでの脳腫瘍幹細胞における影響を調べた。継続して、分化細胞および幹細胞における機能差に注目して実験を行う。まずin vitroでshDEPDC1導入imBTSCをシングルセルクローニングし、分化細胞を採取する。分化した細胞の機能解析をおこない、control細胞と比較し、脳腫瘍幹細胞との差を比較する。さらにNFκBシグナルおよび細胞周期にあたえる影響を解析する予定である。 ヒトを対象としたワクチン療法の治療実験として、GL261を用いた膠芽腫マウスモデルを用いたペプチドワクチンとPD-1抗体併用実験を行う。まずはGL261を用いたモデルマウスの確立を行う。次にワクチン投与タイミングを前倒しし、またアジュバントとして破傷風トキソイドやPoly-ICを用いて実験を継続する。その後、ワクチンとPD-1抗体投与併用群との生存期間解析、組織解析を行う。
|
Causes of Carryover |
(理由) 抗体や培養試薬などの消耗品についてはこれまでの実験で使用してきたものを使いながら適宜補充を行い、遺伝子抑制実験なども行った。in vivoの動物実験については、次年度にさらに多く実験することが予想され、高額となると考えられることから、繰り越して使用することとした。 (使用計画) in vitroでのDEPDC1のiBTSCおよび分化細胞における機能解析をすすめる。また、GL261を用いた膠芽腫マウスモデルを用いたペプチドワクチンとPD-1抗体併用実験をさらにすすめる予定である。
|
Research Products
(2 results)