2018 Fiscal Year Annual Research Report
Exploring for the novel treatment targeting the immune function of glioma stem cell
Project/Area Number |
17K16665
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
山室 俊 日本大学, 医学部, 兼任講師 (30790886)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 膠芽腫 / 免疫療法 / グリオーマ幹細胞 / IDO1 |
Outline of Annual Research Achievements |
膠芽腫は脳腫瘍の中で頻度が高く最も悪性度の高い腫瘍であり、様々な新規治療が研究開発されているにも関わらず、その予後は未だに極めて不良である。膠芽腫の悪性度に強く関与しているのが、がん幹細胞の一つであるグリオーマ幹細胞(以下GSC)である。一方、膠芽腫の新規治療方法として近年盛んに研究されているのが免疫療法であり、その一つとしてIDO1が注目されている。IDO1は自己免疫に必須なT細胞の活性に不可欠なアミノ酸を代謝することで自己免疫を抑制する。GSCとIDO1の関係を明らかにすることで、膠芽腫に対する新たな治療方法(標的)を開発すべく、本研究を開始した。実験には市販および手術患者検体より樹立した膠芽腫細胞株、計4種を用いた。膠芽腫細胞株は無血清培地で培養を継続することでGSC様の性質を再獲得することが知られている。本研究では各々の細胞株を無血清培地で一定期間培養することでGSC様の細胞株を樹立した。まず、それらの細胞株がGSC様の性質を再獲得していることを、形態的に確認し(細胞凝集塊を形成する)、さらに幹細胞のマーカーとして一般的であるNestin、Nanog、SOX2、OCT4などの発現が上昇していることを、メッセンジャーRNAおよびタンパク質レベルで確認した。続いて、これらのGSCモデル細胞株におけるIDO1の発現をメッセンジャーRNAおよびタンパク質レベルで解析し、元の細胞株と比較したところ、GSCモデル細胞株においてその発現が上昇していることが分かった。このことは、GSCがIDO1を高発現することにより自己免疫を抑制し、膠芽腫の悪性度に寄与していることを示しており、IDO1がGSCに対する新規治療法の標的になり得ると考えられた。IDO1を標的とし得る薬剤としてインターフェロンβの有効性を検討したものの効果を示すことができず、引き続き種々の薬剤で有効性を検討している。
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