2017 Fiscal Year Research-status Report
新規低弾性チタン合金であるTi-Nb-Sn合金を用いた骨折治療インプラントの開発
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17K16671
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
上村 雅之 東北大学, 大学病院, 助教 (80758962)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Ti-Nb-Sn合金 / 加熱処理 / 髄内釘 |
Outline of Annual Research Achievements |
2種類の金属,Ti(titanium)-Nb(niobium)-Sn(tin)合金(ヤング率:37GPa)とTi-6Al(aluminium)-4V(vanadium)合金(ヤング率:110GPa)で髄内釘を作成した.ウサギ脛骨骨折実験モデルを用いて髄内釘で固定を行い、マイクロCTによる評価と3点曲げ試験を行った。Ti-Nb-Sn合金製の髄内釘では従来のTi-6Al-4V合金と比較して骨折部仮骨の体積が増大し骨癒合を促進すること、3点曲げ試験で骨癒合部の最大荷重が大きく力学的特性が改善することを明らかにした。 続いて、加熱処理により2種類の異なるヤング率(45GPaと78GPa)をもつTi-Nb-Sn合金で髄内釘を作成した。マウス脛骨骨折実験モデルを用いて髄内釘で固定を行い、骨折修復過程における放射線学的、組織学的、分子生物学的解析を行った。2種類のTi-Nb-Sn合金性髄内釘のいずれにおいても、放射線学的評価で骨折部仮骨の骨量は増加し、組織学的評価による軟骨吸収および新生骨形成は亢進し、骨形成マーカーであるCol1a1の発現上昇、軟骨形成マーカーであるCol2a1および軟骨成熟マーカーであるCol10a1の早期発現低下が確認された。このことより、Ti-Nb-Sn合金は骨折治癒過程において軟骨形成、骨新生、骨リモデリングという一連の過程を骨折部の長軸方向のマイクロモーションを適切に調節することで促進していると推察された。 現在、より固定精度の高い骨折モデルで骨折治癒の評価を行うため、Ti-Nb-Sn合金を用いた骨折部固定用プレートを作成中であるが、現時点でまだ完成に至っていない段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Ti-Nb-Sn合金で髄内釘を作成し、動物骨折実験モデルで骨癒合の促進および力学的特性の改善を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、今後はTi-Nb-Sn合金でプレートを作成し、ウサギ脛骨骨折モデルにおいてTi-Nb-Sn合金のプレートによる骨折部の固定を行い、骨癒合の促進効果および癒合後の力学的特性について、より精度の高い骨折モデルで検討を行う。まず、骨折部における骨折治癒促進分子の発現を評価し、骨折部への適度な力学的負荷が骨癒合促進に関わる分子生物学的メカニズムの解明を行う。続いて、加熱処理によってヤング率を変えた複数のTi-Nb-Sn合金でプレートを作成し、プレート固定による骨折治療モデルで骨折治癒の評価を行い、至適なプレートのヤング率を検討する。
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Causes of Carryover |
Ti-Nb-Sn合金を用いた骨折固定用プレートを現在作成中であり、同プレートを用いた動物実験に必要な消耗品(実験用ウサギ、抗体、組織切片作成備品)費および委託費(CT解析)が繰り越される形となった。翌年度、プレートが完成次第、これらの助成金を用いて実験を進める予定である。
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Research Products
(1 results)