2019 Fiscal Year Annual Research Report
Inhibition of proliferation and metastasis of bone soft tissue sarcoma by control of dormancy
Project/Area Number |
17K16681
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
鈴木 賀代 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (20456388)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | マウス未分化多形肉腫細胞株 / 高肺転移株 / 低肺転移株 / dormancy |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス軟部肉腫細胞 (RCT)の高肺転移株を皮下移植後2, 3, 4, 5, 6週で剖検し、原発巣と肺転移巣で、dormancyの状態をKi-67およびE2F4の発現で経時的に検討した。その結果、原発巣では、腫瘍形成初期でKi-67の発現が観察され、肺転移が増加する5-6週までにピークとなり、その後、Ki-67の発現の増加は認めなかった。一方で、肺転移巣では、肺転移形成初期である3週まででは、Ki-67の発現はほとんど見られず、E2F4の発現が少数の細胞でのみ観察され、肺転移が増加・増大した6週では、Ki-67の発現が増加していた。以上の結果、原発巣では腫瘍形成初期から、Ki-67陽性細胞が出現、増加し、腫瘍の増大とともに腫瘍組織で増殖能が高い時期が維持されるが、腫瘍の増大傾向が止まるとE2F4の発現細胞が出現し、腫瘍組織の一部であるが、dormancyが生じている可能性が示唆された。肺転移巣では、原発巣とは異なり、肺転移形成初期にはdormancyが生じている可能性が示唆され、肺転移が増加・増大する時期ではdormancy が減弱し、肺転移の増悪に寄与していると考えられた。高肺転移株RCT細胞では、増殖能や浸潤能が高いことを確認しており、dormancy細胞は比較的少ないが、腫瘍組織の増大と維持には、dormancyが関与している可能性がある。その一端を担う成長因子の1つにVEGFが挙げられる。原発巣が増大する際には、VEGFの発現が増加するが、比較的大きな腫瘍になると、VEGFの発現が減弱する。その結果、腫瘍細胞もdormancyに陥る。今後、dormancyの制御により、腫瘍の増大・進展を抑制する可能性について、本研究の発展性があると考えた。
|