2018 Fiscal Year Research-status Report
難治性術後遷延痛メカニズム解明による新規治療体系の確立
Project/Area Number |
17K16691
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
鉄永 倫子 岡山大学, 大学病院, 助教 (70601384)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 疼痛 |
Outline of Annual Research Achievements |
人工関節後の術後遷延痛患者に対する①難治性術後遷延痛の発生機序・②脳活動との関連などの未だ明らかになっていない基礎的なメカニズムの解明、③これまで困難とされてきた難治性術後遷延痛の治療を目指し、機能的MRI(fMRI), ポジトロン断層法(PET)を使用した痛みの可視化による新たな診断技術の確立、特に治療抵抗性と言われる神経障害性疼痛のメカニズムを解明するための研究である。その成果は、医療費削減につながる従来にない革新的診断・治療システムの実用化につながるものである。 1.人工関節置換術後における術後遷延痛の割合を明らかにするために、NRSを用いてその頻度を検討した。人工膝関節置換術後では約15%の割合で術後に遷延する疼痛を認めていた。一方、人工股関節置換術後には約8%の割合で遷延痛を認めた。そのうち神経障害性疼痛の割合は人工膝関節置換術後、人工股関節置換術後ともに約30%の割合で神経障害性疼痛の素因があることが解った。また心因性疼痛の素因も約30%の割合で認めた。 2.fMRI、PET/SPECTを用いて侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、心因性疼痛と診断された患者で脳活動に違いがあるかどうか検討しているが、現在の所痛みの性質で明らかな違いは認めていない。 現在、術後遷延痛の性質についてはある程度明らかになってきているが、脳活動との関連は明らかになっていない。今後は症例数を重ねていき、引き続き同様の検討を行っていく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当施設で術後遷延痛になる頻度が当初の予定より多くなく、同意を得られる患者も少ないことが要因と考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
症例数が少ないため引き続き症例数を増やしていき検討する。術後遷延痛患者の脳活動の検討については症例数を増やしてその傾向を見ていくが、当初の結果が得られない場合には既存の診断ツールで診断し、治療効果を見ていくことも考慮する。
|
Causes of Carryover |
現在当初の予定より研究の進行がやや遅れており、研究費使用額が減少したため次年度使用額が生じたものと考えます。
|