2017 Fiscal Year Research-status Report
microRNAに着目した肥満による変形性膝関節症の発症機構の解明
Project/Area Number |
17K16693
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
眞田 洋平 広島大学, 病院(医), 研究員 (50796117)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 変形性膝関節症 / 肥満 / microRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、肥満によるOA発症機構の解明を目指し、特に、1)肥満による全身の代謝障害とOA発症の関わりとをmicroRNAの役割に着目して明らかにしていくものである。初年度である本年は、野生型マウスの各組織における成熟miR-26a-5pの発現パターンを詳細に解析し、軟骨組織、脂肪組織、肺組織において特に高発現することを明らかにした。さらに、骨髄由来間葉系幹細胞から軟骨、脂肪細胞へ分化誘導を行い、成熟miR-26a-5pが分化に伴って発現増加することを明らかにした。miR-26a-5pは、異なる染色体上にコードされたpri-26a-1および、pri-26a-2より転写、成熟され機能を発揮することが知られている。本研究では、pri-miR-26a-1を欠損させたmiR-26a-1 KOマウス、ならびにpri-miR-26a-2を欠損させたmiR-26a-2 KOマウスをそれぞれ樹立し、それらKOマウス同士の交配によりmiR-26a-1/2 DKOマウスを樹立した。各KOマウスにおける成熟miR-26a-5pの発現について検討を行った結果、miR-26a-1 KOならびに、miR-26a-2 KOマウスどちらにおいても成熟miR-26a-5pの発現量は減少しておらず、各遺伝子が独自にコードするmiR-26a-1-3pまたはmiR-26a-2-3pのみ欠失し、通常飼育下においては骨格形成、代謝異常は認められなかった。一方で、miR-26a-1/2 DKOマウスの各組織において成熟miR-26a-5pの発現は完全に消失した。各KOマウスにおける前駆体遺伝子Pri-miR-26a-1、Pri-miR-26a-2に加えて、それら遺伝子をコードするホスト遺伝子CTDSPL、ならびにCTDSP2遺伝子の詳細な発現解析を実施した。さらには、miR-26a1/2 DKOマウスとCol2-cre- miR-26a Tgマウスとの交配を開始し、軟骨組織特異的にmiR-26aをレスキューするモデルマウスの準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
26a-1KOおよび、26a-2KOは既に作出済みであり遺伝子解析を終えている。さらには、26a-1KOと26a-2KOマウスとの交配による26a-1/2 DKOマウスを作出し、成熟型miR-26a-5pの減少を確認できており、順調にmiR-26aKOマウスが樹立出来た。培養細胞、各組織を用いた解析によって成熟型miR-26a-5p、前駆体pri-miR-26a、およびそれらホスト遺伝子の関連について徐々に明らかにできつつある。さらには26a1/2 DKOマウスとCol2-cre-26a Tgマウスとの交配を開始し、軟骨組織特異的にmiR-26a-5pをレスキューするモデルマウスの樹立も順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
樹立した各KOマウス(miR26a-1 KO、miR26a-2 KO、miR-26a 1/2 DKO)の肥満誘導時、または老化による全身の代謝に及ぼす影響について、血清、尿成分を用いた生化学的な解析に加えて、遺伝子発現解析を行い検討する。また、膝関節組織を含む各関節組織における軟骨組織を含む関節組織の組織学的な解析を実施していく。
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Causes of Carryover |
樹立したmiR-26a KOマウス、および組織特異的miR-26a Tgマウスを用いた網羅的な遺伝子発現解析を予定していたが、それら発現解析に加えて、プロテオミクス解析を同時に実施することにし、サンプル数を増やすなど準備に時間がかかり次年度に解析を実施することにしたためである。
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