2017 Fiscal Year Research-status Report
The pathomechanism of chronic low back pain through CGRP signaling
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17K16700
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
宮城 正行 北里大学, 医学部, 講師 (90627556)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 椎間板性腰痛 / 神経成長因子 / 炎症性サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
非特異的腰痛の原因として椎間板由来の疼痛が近年注目されている。なかでもカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、神経成長因子(NGF)は腰痛の原因になるとされている。ヒト検体を用いた検討からマウスとヒトでCGRPの発現機構が異なることが明らかになった。そこで本研究では椎間板由来の疼痛メカニズムの解明を探索すべく、マウス椎間板傷害モデルにおけるNGFの発現動態と制御機構について検討した。9週齢マウスの尾椎椎間板を27G針で傷害し、椎間板損傷モデルとした。損傷後1日、2日、3日、7日、14日、28日に損傷した椎間板を採取し、CGRP、NGF、TNF-α、TGF-βの発現をReal rime PCR, ELISAを用いて検討した。次にTNF-α、TGF-βによるNGFの制御の可能性を検討するため、マウスの椎間板を細胞培養し、TNF-α、TGF-β刺激後のNGFの発現を検討した。椎間板損傷モデルマウスにおいてNGFは損傷後1日より28日まで有意に上昇していたが、特に1日、28日後において高い発現を認めた。TNF-αは損傷後1日より有意に上昇し、損傷後14日より徐々に低下した。TGF-βは損傷後3日より徐々に上昇し、損傷後28日において最も高い発現を示した。マウスの椎間板細胞においてTNF-α、TGF-βの刺激でNGFの発現の上昇が認められた。TNF-α, TGF-βの発現ピークと一致してNGFの発現上昇が認められた。In vitroにおいてTNF-α, TGF-βはNGFを誘導したことから、椎間板傷害後早期に上昇するTNF-αがNGFを誘導しており、椎間板傷害後に遷延するNGFの上昇はTGF-βが誘導している可能性が示唆された。本機構は椎間板由来の疼痛メカニズムの解明に重要な役割を果てしているものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は動物実験中心に行い、椎間板に発現する炎症性サイトカインと神経成長因子を含む疼痛関連物質の動向を詳細に確認することができた。なお、術中摘出したヒト椎間板検体の蓄積も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
動物実験においては概ね、順調に進展しており、今後神経成長因子と炎症性サイトカインがカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)の発現に与える影響を調査し、CGRPシグナルを介した慢性椎間板性腰痛メカニズムの詳細を解明する予定である。 また、ヒト椎間板の検体の蓄積は順調に進んでおり、100例近くに達している。しかし、摘出検体の細胞数の問題から解析に使用できるのはほぼ半数の50検体程度の予定である。摘出検体の解析は随時行っており、疼痛関連物質の発現状況の調査を行っている。今後、更なる症例を蓄積後、統計学的検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
実験計画は概ね予定通りに進展しているが、購入、実験を予定していたELISAキットやPCR用試薬の一部を次年度に行うこととなったため、次年度使用額が生じたが、次年度既に研究計画に使用が予定されている。
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Research Products
(2 results)