2017 Fiscal Year Research-status Report
変形性膝関節症におけるSOD活性の動向と病理学的意義の解明
Project/Area Number |
17K16704
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
小池 正人 順天堂大学, 医学部, 助教 (70767574)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 酸化ストレス / SOD活性 / 変形性膝関節症 / 軟骨 / 滑膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
スーパーオキシドは活性酸素種の一つであり、抗酸化酵素SODによって調節される。我々はマウスモデルを用いて軟骨細胞のスーパーオキシドが軟骨変性を加速することを見出したが、ヒト変形性膝関節症(OA)関節軟骨のスーパーオキシド発生量およびSOD活性に関しては不明点が多く、さらに滑膜においては未知である。本研究では、OA軟骨と滑膜におけるスーパーオキシド発生量、SOD活性の挙動を明らかにすることを目的とした。まず人工膝関節全置換術(TKA)を行ったKL4の患者(OA群)5例5膝と膝前十字靭帯損傷再建手術(ACL再建術)または半月板部分切除術を行ったKL0,1の患者(対照群)5例5膝の関節軟骨および滑膜を採取し、スーパーオキシド特異的蛍光試薬であるDHE染色で蛍光強度を測定した。さらにTKAを行ったKL4の患者(OA群)18例18膝とACL再建術または半月板部分切除術を行ったKL0,1の患者(対照群)9例9膝の関節軟骨および滑膜を採取し、SOD活性を評価した。結果はDHE染色の蛍光強度は対照群に対し、OA群の関節軟骨および滑膜ではいずれも有意に増加していた。関節軟骨におけるSOD活性は対照群に対し、OA群で有意に低下を認めた。また滑膜におけるSOD活性は対照群に対し、OA群で有意に低下を認めた。ヒトOA軟骨および滑膜において抗酸化能の低下および酸化ストレスの過剰状態を認めた。末期膝OA 患者の酸化ストレス値および抗酸化値の評価(血漿、関節液)の評価はまだできていないが、当初の研究計画で期待していた通り、末期膝OAの組織中SOD活性の低下を示すことができ、概ね研究計画通りの結果を得ることができている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目に計画していた研究計画の中で、サンプルの不具合もなく、ある程度仮説通りの結果を得られているため、概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
末期膝OA患者におけるSOD活性の動向が、マウスモデルと同様の傾向を示したことから、SODを補うことでOAの進行予防に期待できるかを判断していく研究に移る。まずは研究期間の6 か月間で50~69 歳の閉経後女性を対象に、OA の病態に影響を与えうる代謝性疾患を有さない方の中で、膝関節の違和感を有する方を臨床研究参加者として募集する。リクルートに苦慮する可能性があるため、リクルートの仕方に工夫が必要と思われる。早期膝OA 患者に対する抗酸化物質内服によるSOD 活性動向および健康関連QOL の改善効果を評価し、2 重盲検で6 か月間SOD 活性を増加させる物質(SOD-Gliadin)を内服する群(n= 20)およびプラセボ群(n= 20)に振り分け、内服前後(投与開始時、6 か月後)の血中SOD 活性およびdROMs、BAP を測定し比較する。採血は午前中の空腹時の静脈血を採取する。採取した血液は血漿として凍結保存し、半年以内に解凍し測定を行なう。また膝MRI(T2 Mapping)で軟骨変性と軟骨下骨髄浮腫の変化を評価する。さらに健康関連QOL 尺度であるSF-36、JKOM でスコアリング評価を行なう。また、投与前後における筋力検査および運動能力検査を行なう。抗酸化物質の内服による副作用の有無を確認するため腎機能および肝機能障害の評価も行っていく。有害事象が確認された際には直ちに中止とする。6 か月間の投与後(1 年後)にそれらデータの解析をまとめて報告する。
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Causes of Carryover |
平成29年度に得られた研究成果を論文投稿予定。その際に英文校正を依頼するための資金として使用予定。
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