2017 Fiscal Year Research-status Report
Sonication and Next-Generation Sequencing for Clinical Diagnosis of implant associated infection
Project/Area Number |
17K16707
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
植田 成実 関西医科大学, 医学部, 助教 (30632757)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | インプラント周囲感染 / 人工関節周囲感染 / 超音波処理法 / 次世代シーケンサー / PCR |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、超音波処理、PCR、次世代シーケンス(Next Generation Sequencing:NGS)を組み合わせてインプラント周囲感染および整形外科感染症の新規診断法を確立することで、我々は超音波処理によりインプラント周囲感染での培養法の細菌検出感度が上昇すること(Trampuz et al. NEJM 2007)と、NGSを用いた様々な分野の細菌叢研究が進んでいること(Science 311 2006)に注目し、NGSの臨床応用を超音波処理に併せて行う方法を考えました。超音波処理により細菌のバイオフィルムを破砕し、16S rRNA遺伝子のリアルタイムPCR、NGSにより培養不可能な複数細菌の検出が可能であると考え、インプラント周囲感染及び整形外科感染症の新規診断法を確立し、超音波処理法の更なる検出感度向上を目指した研究に取り組んでおります。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまで、整形外科領域における臨床検体を用いた次世代シーケンスによる細菌検出法の先行研究がなく、予め約20種の細菌DNAが混合されたものと、希釈調整した濃度の違う大腸菌陽性コントロールを含めて臨床検体のうち感染症例のものを中心に、感染でない患者からの4サンプル(臨床検体における陰性コントロールを追加)を加えてNGSを行い、正確性と再現性を検証しつつプロトコールの改善をおこなってきました。これまで複数の保存冷凍検体のDNA抽出をまとめて行い、計4回のNGSのためにPCRを行い、再現性が良く、確実に検出が可能レベルとなり迅速に数時間で感染症の有無が判別できつつあります。また、精製過程で、泳動結果をみてから再精製なしで迅速にシーケンスできるプロトコールの確立を目指し、電気泳動をスキップし、それにより大幅なコストダウンと時間短縮、人件費の削減が可能になり、単一のフローで検査が可能になります。現在は、一度に約40サンプルの検査を可能としており、NGS解析後に自動でデータファイルの形成と、イオンレポーターにデータをあげて解析するワークフローを確立、精製からデータ返却まで1日で可能になりました。そして、解析ソフトウェアも比較し、その問題点と有用性を検証しています。現在シーケンス結果を細菌培養検査結果、病理検査結果、採血検査などと臨床経過との比較検証をしています。陽性コントロールの解析結果は過去の論文報告とほぼ近似した結果となっており(Fouhy et al. BMC Microbiology (2016))、我々のシーケンスに問題がなく、再現性が得られていることから正確性を検証できました。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、汚染との鑑別基準を検証中で、我々のNGSのデータと臨床データよりPCR CT値の検証を、今年度に報告し、エビデンスの構築を行ないます。また検体を増やしてさらにシーケンスを行い検証をします。また、同時に超音波処理法のさらなる精度向上のための研究である超音波処理時間の検証として濃度調整した細菌を用いて生菌数変化を培養法および死菌抑制可能なEMA(ethidium monoazide)処理後Real-TimePCRにて検証することと超音波周波数帯の細菌に直接与える影響を検証予定としております。
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Causes of Carryover |
予定していた抜去インプラント以外に腐骨や関節包、瘢痕などの超音波処理後に細菌培養し、超音波処理法の組織検査への適応を検証することはまだ検証できておりません。また、超音波処理の検出感度向上を目指した基礎研究として超音波処理時間の検証は現在進行中ですが、超音波周波数帯の違いによる検証もまだ行なえておらず、本年度予定します。シーケンスに関してはこれまで4度の同じ検体を用いた検証でしたので、検体数を増やし、構築できたプロトコールに従って行い検証します。そのため、シーケンスを計3~4回 (6~8ラン)程度予定しており、他研究の進展状況との兼ね合いを見ておこないます。
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