2018 Fiscal Year Research-status Report
ホウ素中性子捕捉療法を用いた骨転移の治療方法の開発
Project/Area Number |
17K16708
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
安藤 徹 神戸学院大学, 薬学部, 助手 (50639226)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 骨転移 / ホウ素中性子捕捉療法 / p-borono-L-phenylalanin / 前臨床研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
ホウ素中性子捕捉療法は,腫瘍細胞に集積したホウ素(主にp-borono-L-phenylalanin,L-BPA)に対する熱中性子の照射により腫瘍細胞を選択的に死滅させる新たな治療方法として期待されている.これまで申請者らは外科的処置以外に確立された治療法のない明細胞肉腫(CCS)を標的に,その基礎研究から臨床研究への応用を目指した橋渡し研究を行ってきた. そこで本研究では,整形外科領域での骨軟部悪性腫瘍に対するBNCTの適応拡大を考え,整形外科領域で最も多い悪性骨腫瘍である癌の骨転移に対するBNCTの適応を検討した. 昨年度までの検討で,骨転移の臨床症例が多く報告されている乳癌,肺癌について,検討を行った.ヒト由来乳癌細胞株であるMDA-MB-231-luc,ヒト由来肺癌由来細胞株であるA549-lucを用いて,L-BPAの取込評価ならびにリアルタイムPCR法にてLAT1の発現量を定量したところ,L-BPAの取込は濃度依存的に増大し,その取込はLAT1の発現に依存していると考えられる. 次に両細胞株を用いた骨転移担がん動物モデルを作成し,L-BPAを用いた体内動態評価を行ったところ,BNCTによる治療に適した投与後の経過時間,熱中性子の照射時間は1時間後から約1時間であることが示された.さらにL-BPA投与後に熱中性子照射によるBNCTを行ったところ,双方の細胞株担がん動物において,抗腫瘍効果が見られることが示された. 抗腫瘍効果について,LAT1発現の差に基づくと考えられるL-BPA取込の違いが効果にも影響していた.L-BPAの取込は細胞の増殖に依存するため,細胞の増殖に依存しない抗腫瘍効果を期待して,細胞内に取り込まれなくても効果が期待できるガドリニウムを用いた新規製剤の開発とその評価を行い,細胞表面への付着と,その抗腫瘍効果が粒子径に依存することを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度より,熱中性子照射実験を行うことができていたため,同様の手法で,LAT1発現の異なる細胞株での検討も行うことが可能であった.さらに予備検討的にではあるが,3年目に予定しているフローサイトメトリー,新規製剤についても検討を開始できたことから,当初の予定通りかやや予定よりも順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
2年目の研究予定に入れていなかったフローサイトメトリーに関しても,検討を開始できているが,評価方法として組み込むにはさらなる検討が必要である.他の基礎検討との比較も考慮して,評価方法に組み込めるようにデータの蓄積を推進したい.また,熱中性子照射の検討結果について,組織学的な評価を追加して,熱中性子照射やBNCTで発せられる放射線が腫瘍組織と正常組織に与える影響について,さらなる検証も必要である.さらに新規製剤の開発についても,投与方法の検討や,担がん動物での検討を行っていきたい.
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[Presentation] Study on application of BNCT to synovial sarcoma2018
Author(s)
T. Fujimoto, M. Suzuki, S. Kuratsu, T. Sudo, T. Sakuma, Y. Sakurai, T. Takata, Y. Tamari, H. Tanaka, S. Masunaga, Y. Kinashi, N. Kondo, H. Igaki, I. Fujita , T. Andoh, M. Morishita, S. Yahiro, R. Shigemoto, T. Kawamoto, T. Akisue, H. Ichikawa, R. Kuroda, T. Hirose
Organizer
18th International Congress on Neutron Capture Therapy
Int'l Joint Research
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