2017 Fiscal Year Research-status Report
Analysis on the pathogenesis of idiopathic scoliosis using Gpr126 conditional knock-out mice
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17K16709
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
郭 竜 国立研究開発法人理化学研究所, 統合生命医科学研究センター, 特別研究員 (50784055)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 側彎 / 思春期特発性側彎症 / GWAS / GPR126 / 軟骨 / 脊椎 / ノックアウトマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
思春期特発性側彎症(Adolescent Idiopathic Scoliosis: AIS)は、思春期に発症・進行する原因不明の疾患である。全世界で、人口の2-4%に発症するcommon diseaseであり、その病因の解明、効果的な治療法の開発は、我が国のみならず、全世界の医療、医療経済上の大きな課題となっている。 本研究では、AISの発生メカニズムを分子レベルで解明し、その革新的な治療法開発への突破口を開くことを目指して、先に世界初の全ゲノムレベルのケース・コントロール相関解析(Genome-Wide Association Study: GWAS)により同定されたAISの疾患感受性遺伝子GPR126(G-protein-coupled receptor 126)の機能の解析を行っている。軟骨細胞の細胞株を用いた軟骨分化における細胞レベルでのGPR126遺伝子の機能解析、成長過程のマウス脊椎における組織レベルでの発現解析、及び時期および軟骨特異的なGpr126ノックアウトマウスを用いた生体レベルでの表現型解析、組織学的解析により、GPR126によるAISの発生メカニズムを検討する。 平成29年度の研究により、GPR126は軟骨組織で高発現すること、GPR126の発現は、軟骨分化の進行に従って上昇することがわかった。よって、GPR126はpro-chondrogenic factorであると考えられた。タモキシフェン誘導性Gpr126 cKOマウスの作製のために、ターゲティングベクターの構築、ES細胞への導入、Gpr126 loxP knock-inされた ES細胞のセレクションを行った。取ったES細胞ラインを用いて、キメラマウス(F0)を作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1) 軟骨細胞株を用いたGPR126発現解析。ヒト軟骨細胞(OUMS-27細胞またはHCS2/8細胞)、マウス由来の軟骨前駆細胞(ATDC5細胞)でのGPR126の発現profileを確認した。次いで、軟骨細胞における発現ベクターを用いたGPR126の機能解析のために、軟骨細胞での遺伝子導入導入条件の至適化を行なった。その結果、遺伝子導入法としては、4D-Nucleofectorシステムを用いたエレクトロポレーション法が最適であることがわかった。 2) マウス脊椎の成長過程におけるGpr126の発現解析。成長過程における脊椎でのGpr126の発現パターンを理解するためにin situ hybridization法と免疫組織染色法を用いて、新生児期~成人期マウスの脊椎、及びその周辺組織におけるGpr126発現を解析した。脊椎の成長軟骨の増殖層の軟骨細胞に強く発現していることがわかった。 3) タモキシフェン誘導性Gpr126 cKOマウスの作製。変異エストロゲンレセプター(CreERT、CreERT2等)を用いたCre組換え酵素誘導システムを用いて、タモキシフェン誘導性Gpr126 cKOマウスの作製している。既に、Gpr126遺伝子破壊のターゲティングベクターの構築まで成功した。ヘテロマウスを作製するため、ES 細胞を用いた相同組換え法によるGpr126キメラマウスを作製しこれとキメラマウスと野生型マウスを交配している。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 軟骨細胞株を用いた発現解析。GPR126発現ベクター、GPR126-shRNA発現ベクター(レンチウイルスベクター)を作製する。作製したベクターを軟骨細胞様細胞株に導入し、GPR126安定発現細胞株および安定的ノックダウン細胞株を取得し、軟骨分化マーカー遺伝子の発現変化をリアルタイムPCRシステムで解析する。 2) タモキシフェン誘導性Gpr126 cKOマウスの作製。時期および軟骨特異的にGpr126をノックアウトするため、軟骨分化のマスターレギュレーターであるSox9のトランスジェニックマウス(Sox9-CreERT2マウス)と交配させ、タモキシフェン誘導性Gpr126 cKOマウス(Sox9-CreERT2;Gpr126fl/flマウス)を作製する。作製したGpr126 cKOマウスを用いてタモキシフェンの投与方法に対する予備実験を行い、タモキシフェンの至適投与条件を決定する。 3) タモキシフェン誘導性Gpr126 cKOマウスの表現型解析。胎生期~思春期にかけてタモキシフェンを投与したGpr126 cKOマウス(Sox9-CreERT2;Gpr126fl/flマウス)を作製する。各時期について、表現型の確認や組織学的解析を行なう。側彎の表現型が見られたGpr126 cKOマウスに対しては、コントロールマウスとともに脊椎からRNAを抽出し、リアルタイムPCRシステムを用いて軟骨の分化マーカー遺伝子(Col2a1、Agc1、Col10a1等)の発現を比較する。更に、各時期の全身骨格と脊椎の組織切片を作製し、Alcian blue、アリザリンレッド等の染色法を用いて骨・軟骨形成を検討する。in situ hybridizationや免疫組織染色により、脊椎でのAIS関連遺伝子群の発現を調べる。
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Research Products
(2 results)