2017 Fiscal Year Research-status Report
早期発症の骨系統疾患の原因遺伝子の系統的シーケンス解析
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17K16710
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
王 錚 国立研究開発法人理化学研究所, 統合生命医科学研究センター, 研究員 (90794313)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 骨系統疾患 / 単一遺伝子病 / 原因遺伝子 / シーケンス解析 / Exome解析 / 遺伝子変異 / 遺伝子診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨系統疾患とは、骨・軟骨など骨格を形成する組織の成長・発達・分化の系統的な障害により、骨・関節の形成・維持に異常をきたす疾患の総称である。ほとんどが遺伝性の疾患(メンデル式遺伝をする単一遺伝子病)で、有効な診断・治療法がない難病である。骨系統疾患のかなりの部分が、胎児期から周産期にかけて発症する。タナトフォリック骨異形成症、低フォスファターゼ症、軟骨無発生症などが代表的な疾患である。これら早期発症の骨系統疾患の診断は、十分な臨床データを得るのが難しいこと、X線やCTなどの画像情報を得るのが難しく、また、得られたとしてもその情報量が解像度の問題等で低いこと、この時期の骨格の成長・発達の個体差、年齢(週齢)差が極めて大きいこと、などから、診断が難しいとされる骨系統疾患の中でもとりわけ困難である。本研究では、従来の方法では診断が困難な胎児期から周産期に発症する早期発症の骨系統疾患の原因遺伝子(疾患遺伝子)を系統的な遺伝子シーケンス解析により同定する。サンガーシーケンスと次世代シーケンサーを用いたExome解析を組み合わせた段階的シーケンスのシステムを構築し、早期発症の骨系統疾患の大規模シーケンス解析を行う。平成29年度の研究により、段階的シーケンスのシステムの構築に成功し、既に4つの早期発症の骨系統疾患の原因遺伝子を発見した。うち3つについては、既に論文発表した(「現在までの進捗状況」に記載)。原因遺伝子の発見により、これらの疾患の遺伝子診断、保因者診断が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
系統的な遺伝子シーケンス解析により、以下の骨系統疾患の原因遺伝子を世界に先駆けて発見し、論文発表した。 1)骨格シリア病の原因遺伝子、KIAA0753; HammarsjÖ A, Wang Z,(以下24名). Novel KIAA0753 mutations extend the phenotype of skeletal ciliopathies. Sci Rep 2017. 2)Spondylo-epi-metaphyseal dysplasiaの原因遺伝子、EXTL3; Guo L, Elcioglu NH, Mizumoto S, Wang Z,(以下7名). Identification of biallelic EXTL3 mutations in a novel type of spondylo-epi-metaphyseal dysplasia. J Hum Genet 2017. 3)Axial spondylometaphyseal dysplasiaの原因遺伝子、NEK1; Wang Z, Horemuzova E, I(以下10名). Axial spondylometaphyseal dysplasia is also caused by NEK1 mutations. J Hum Genet 2017. また、Marshall-Stickler 症候群で、新規のCOL11A1とCOL2A1の遺伝子変異を発見し、表現型との相関を明らかにした(Hum Genome Var 2017).
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Strategy for Future Research Activity |
確立した系統的シーケンス解析のシステムを利用して、シーケンス解析を継続し、更に多くの早期発症の骨系統疾患の原因遺伝子を発見する。加えて、同定した遺伝子変異に対して、その機能異常の解析を行ない、当該疾患の分子病態に迫る。
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