2017 Fiscal Year Research-status Report
DM1疾患特異的iPS細胞とスプライシングレポーターを用いた治療薬スクリーニング
Project/Area Number |
17K16711
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
加門 正義 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 疾病研究第五部, 流動研究員 (90557224)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | DM1 / スプライシング異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
スプライシング異常を検出する系として、健常者由来iPS細胞とDM1患者由来iPS細胞(DM1-iPSCs)を樹立した。樹立した細胞にはtet-on-MyoDを導入して骨格筋細胞への分化を可能とした。DM1-iPSCsとそこから分化させた骨格筋細胞はリピートの異常伸長とスプライシング異常を起こしていることを明らかにした。(Ueki et. al., Scientific Reports, 2017) スプライシング異常をモニタリングするレポーターとして、CAGプロモーター下流に、スプライシングを受けるミニジーンと融合EGFP、さらに下流にIRES-mCherryをもつベクターを構築した。ミニジーン部分はスプライシングの変化に反応してEGFPの発現が変化するようになっており、加えて、IRES配列下流にmCherryを導入することで、mCherryの発現が転写量を反映するようにしてある。このレポーターが発現するEGFPとmCherryの比をとることで転写量当たりのスプライシング異常を定量することができる。ミニジーンは、骨格筋でスプライシング異常が起こる遺伝子のうちDM1モデルマウスでも異常が認められるものと、スプライシング異常が起きるエクソン-イントロン領域が1kb以下のものを条件として候補とした。候補となったCLCN1、JAG2、ATP2A1の3遺伝子の配列をクローニングして作製した。レポーターベクターは293細胞に導入することでGFPとmCherryの発現を確認した。 tet-on-MyoD-iPSCsにレポーターベクターを導入して薬剤セレクションにて安定発現株を樹立した。骨格筋細胞に分化させての解析では、スプライシング異常を緩和させることが報告されているエリスロマイシンの添加で、JAG2レポーターのEGFP/mCherry比の増加、即ちスプライシング異常の改善傾向がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
レポーターベクターを導入した安定発現クローンを複数樹立するために予定より時間を要した。分化誘導した骨格筋細胞でのJAG2レポーターの作動が確認できたので、スクリーニングに用いる。CLCN1とATP2A1レポーターはiPS細胞に導入した際にEGFPとmCherryの発現が弱くなってしまったので、ベクターの改良が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
JAG2レポーターiPS細胞から分化誘導後の骨格筋細胞に化合物ライブラリーから薬剤を加えて培養して、レポーターの変化を画像解析で明らかにする。EGFP/mCherry比を算出し、添加後に比が大きくなっている化合物をヒット化合物として同定する。スクリーニングでヒットした化合物が、細胞内シグナルのどこに作用してスプライシング異常を回復するかを特定し、その上流及び、下流のシグナルを明らかにする。
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Causes of Carryover |
必要なものを節約に努めて購入していたために残金が生じた。特に必要ではないのに残金で購入できるものを探すより、次年度と合わせて必要な試薬を購入することが科研費の趣旨に沿うことと判断した。細胞培養用試薬の購入費用の一部に充てる予定である。
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