2017 Fiscal Year Research-status Report
抗癌剤による末梢神経障害に対する漢方治療の基礎的検討
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17K16717
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
佐藤 泉 旭川医科大学, 大学病院, 医員 (70624196)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 神経障害性疼痛 / 漢方薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はラットの末梢神経障害モデルに漢方薬を投与することで疼痛閾値の上昇を確認し、脊髄での分子生物学的検討を行うことで末梢神経障害に対する漢方薬の有効性の検討を行うとともに、末梢神経障害に対する機序の解明を目的とする。最初は広く神経障害性疼痛の研究分野で用いられている絞扼性神経損傷モデルに漢方薬を投与し、Von Freyフィラメントによる疼痛閾値評価で、コントロール群と比較して漢方薬投与群で機械的閾値が有意に上昇することを確認した。漢方薬は、抗癌剤による末梢神経障害をはじめ、様々な神経障害性疼痛に対して有用性が示されている牛車腎気丸を用いた。次に当初の予定では神経障害性疼痛モデルとして抗癌剤による末梢神経障害のモデルラットを用いる予定であったが、モデル作成が安定しないためHIV関連神経障害性疼痛モデルを用いることとした。Von Freyフィラメントによる疼痛閾値評価では、コントロール群と比較して牛車腎気丸投与群で機械的閾値が有意に上昇し、牛車腎気丸がHIV関連神経障害性疼痛に有効である可能性が示唆された。今後は細胞内活性酸素の指標であるMitosox Red を投与し、behavior test により効果が確認された漢方薬が脊髄後角における神経細胞内の活性酸素に及ぼす影響を明らかにするとともに、Western Blot 法を用いて、漢方薬が脊髄後角の炎症性サイトカインに与える影響を明らかにすることを目的として研究を進める予定である。予測される結果が得られたら、同モデルにアンチセンス Drpl を投与し、同様の手法で効果を確認し、遺伝子治療による抗癌剤性末梢神経障害の治療の可能性について検討を行う。さらに、漢方薬とアンチセンス Drpl の投与を組み合わせることによる相乗効果が起こるという仮説を調査する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
神経障害性疼痛モデルとして抗癌剤による末梢神経障害のモデルラットから変更して、HIV関連神経障害性疼痛モデルを用いることとしたが、Von Freyフィラメントによる疼痛閾値評価では、コントロール群と比較して牛車腎気丸投与群で機械的閾値が有意に上昇し、牛車腎気丸がHIV関連神経障害性疼痛に有効である可能性が示唆された。初年度中に分子生物学的検討にまでは至れなかったが、全体としてはおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
脊髄後角を検体として免疫染色法およびウエスタンブロット法を用いて疼痛関連物質の発現を評価し、それらのpathwayを解明することを目的として実験を進める。
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Causes of Carryover |
初年度はモデル作成とそのモデルの評価に時間を費やしたため、ラット関連の支出が中心であった。また初年度に学会発表を行わなかったためその支出がなく、次年度使用額が生じた。次年度は免疫染色法やウエスタンブロット法などによる分子生物学的検討を中心に行う予定であり、今年度同様ラットの購入、ラットの飼育に加え、抗体、ピペットなどの消耗品の購入、学会発表旅費、英文校正料などに使用する予定である。
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