2017 Fiscal Year Research-status Report
吸入麻酔薬とGLP-1の心筋保護相互作用―ミトコンドリア機能に与える影響―
Project/Area Number |
17K16734
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
浜口 英佑 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 専門研究員 (60709575)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | GLP-1 / ミトコンドリア / イソフルラン / 心筋保護作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
吸入麻酔薬とGLP-1の心筋保護効果は、ミトコンドリアダイナミクスに関連するという仮説のもと、以下の研究を行った。GLP-1は小腸のL細胞から分泌されるペプチドであり、ブドウ糖濃度依存性にインスリンの分泌を亢進させる働きがあり、新しい糖尿病治療薬として注目を浴びている。他にも、膵β細胞の増殖、胃内容物の排出遅延作用、食欲抑制などが知られている。近年の研究によるとGLP-1受容体は心筋細胞にも分布していることが明らかにされ、心機能の制御や虚血に対する心筋保護作用についても報告されている。 実験1においては、ラットの摘出心から得られた遊離心室筋細胞をディッシュに接着させ、特殊チャンバーを用い、1 時間低酸素状況(95%N2, 5%CO2) に暴露することで心室筋細胞に虚血状態をつくりだした。その後1 時間通常の培養状態に戻すことで再潅流状態とした。GLP-1 群は、低酸素-再潅流の1 時間前にGLP-1 受容体作動薬にて細胞を処置することによって作った。これによりGLP-1 によるプレコンディショニング作用が明らかとなった。同様に、吸入麻酔薬イソフルラン(1.0 minimum alveolar concentration [MAC])にて30 分間刺激を与え前処置を行ったAPC 群においてもその心筋保護作用が明らかとなった。さらに、これらの両方を与えた場合の生存率を対照群と比較検討すると、GLP-1 とAPC の相互作用が明らかとなった。 実験2においては、実験1.の低酸素再灌流モデルにて、ミトコンドリア染色色素(MitoTracker)、光褪色後蛍光回復法(FRAP assay)を用いて各群のミトコンドリアダイナミクス(ミトコンドリアの分裂と融合)を明らかにする研究を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験1においては、ラットの摘出心から得られた遊離心室筋細胞をディッシュに接着させ、特殊チャンバーを用い、1 時間低酸素状況(95%N2, 5%CO2) に暴露することで心室筋細胞に虚血状態をつくりだした。その後1 時間通常の培養状態に戻すことで再潅流状態とした。GLP-1 群は、低酸素-再潅流の1 時間前にGLP-1 受容体作動薬にて細胞を処置することによって作った。これによりGLP-1 によるプレコンディショニング作用が明らかとなった。同様に、吸入麻酔薬イソフルラン(1.0 minimum alveolar concentration [MAC])にて30 分間刺激を与え前処置を行ったAPC 群においてもその心筋保護作用が明らかとなった。さらに、これらの両方を与えた場合の生存率を対照群と比較検討すると、GLP-1 とAPC の相互作用が明らかとなった。 実験2においては、実験1.の低酸素再灌流モデルにて、ミトコンドリア染色色素(MitoTracker)、光褪色後蛍光回復法(FRAP assay)を用いて各群のミトコンドリアダイナミクス(ミトコンドリアの分裂と融合)を明らかにする研究を行っているところである。 上記のように研究計画書に記載のとおりの進捗具合であり、おおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
実験2においては、実験1.の低酸素再灌流モデルにて、ミトコンドリア染色色素(MitoTracker)、光褪色後蛍光回復法(FRAP assay)を用いて各群のミトコンドリアダイナミクス(ミトコンドリアの分裂と融合)を明らかにする研究を行っているところである。今後は、研究計画書に記載したとおりに、この実験2をさらに進め、次にミトコンドリア融合に関するOpa-1の影響を明らかにするために、実験3を行う予定である。
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