2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a Novel Immunotherapy for Pseudomonas aeruginosa Lung Injury
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17K16747
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
加藤 秀哉 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員講師 (30515284)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肺炎 / 多剤耐性菌 / 抗体・ワクチン療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の主な死因別死亡統計において、肺炎は第5位(7.2%:平成29年度)を占めている。この背景には、高齢化社会や医療の高度化に基づく免疫不全患者の増加、抗 菌薬の汎用による多剤耐性菌蔓延が深く関わっている。これら肺炎の主な起炎菌には、緑膿菌に代表されるグラム陰性桿菌やMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球 菌)などが含まれる。そこで、新たな方法で病原性細菌に対抗して免疫力を高める予防法や、従来の抗菌薬には頼らない方法で病原性のメカニズムに対抗できる 新しい治療法の開発が強く求められている。申請者らは、グラム陰性菌の起炎菌として最も頻度の高い緑膿菌性に対する免疫療法を検討してきた。これまでの研 究で、細菌感染症に対して現在臨床で唯一使用可能な抗体製剤である市販ガンマグロブリン製剤には、緑膿菌性肺傷害に対して保護効果があることを見出し た。一方で、近年の分子細菌学の研究により、多くの病原性グラム陰性桿菌は、III型分泌システムと呼ばれる相同性の高いメカニズムを用いて、その病原性を 発揮していることが明らかにされてきた。そして、市販ガンマグロブリン製剤における肺傷害改善のメカニズムとして、緑膿菌の主要な病原毒性であるIII型 分 泌システムの阻害に加えて、緑膿菌の未同定の表面抗原に対する抗体分画が関与していることが解った。今回、これら免疫に関与する表面抗原タンパクの中 か ら、ガンマグロブリンの抗肺傷害作用に関与する表面抗原タンパクを同定し、それをもとに新しい免疫療法の開発を目指す。
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