2020 Fiscal Year Research-status Report
慢性痛の発症及び治療における、セロトニントランスポーターの関与についての検討
Project/Area Number |
17K16750
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
山崎 広之 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (70759000)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | セロトニントランスポーター遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
疼痛や情動に関わる生理活性アミンであるセロトニンのトランスポーターは神経終末に発現し、シナプス間隙からのセロトニン再取り込みを行うことでシナプス伝達に影響する。近年の報告では、セロトニントランスポーター遺伝子多型が鎮痛薬の効果や慢性痛発症と関連している可能性が示されている。我々は、肺癌術後の開胸術後痛とセロトニントランスポーター遺伝子多型との関連性に関する多施設前向き観察研究を行った。対象は、肺癌手術を受けた患者178名とした。混合効果モデルを用いた解析では、時間と遺伝子型の交互作用を見る主解析では、遺伝子型による術後疼痛スコアの経時的変動の違いに有意な差は認められなかった。また様々なリスク因子を探索的に検討する副次解析では,時間と遺伝子型と硬膜外麻酔の有無の掛け合わせの効果により術後疼痛スコアが有意に変動する可能性が示唆された。我々はこの知見に関する発表を日本麻酔科学会学術集会で行い、論文を作成した。論文は現在投稿中である。続いて、帯状疱疹関連痛とセロトニントランスポーター遺伝子多型に関する横断研究を計画し、探索的にセロトニントランスポーター遺伝子多型と帯状疱疹関連痛の強度、痛みの性質、生活に及ぼす影響、治療効果との関連性を解析する予定である。2021年度は新型コロナウイルス感染症のため臨床研究を一時的に中断していたこともあり、研究データの収集や解析は次年度以降の計画へと変更になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年度は新型コロナウイルス感染症のため臨床研究を一時的に中断していたこともあり、帯状疱疹関連痛とセロトニントランスポーター遺伝子多型に関する横断研究における研究データの収集や解析は次年度以降の計画へと変更になった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究プロトコルは完成しているが、新型コロナウイルス関連の対策のため、今後も状況によっては臨床研究の進行が予想よりも遅れる可能性はある。社会情勢に合わせた適切な研究の進行が求められる。
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Causes of Carryover |
研究計画が遅れているため、次年度使用額が生じている。主に遺伝子解析費用としての使用を予定している。
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Research Products
(1 results)