2017 Fiscal Year Research-status Report
ES細胞由来知覚神経前駆細胞を用いた新規の慢性疼痛モデルの作製とその病態の解明
Project/Area Number |
17K16760
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
川治 崇泰 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教 (80771245)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 知覚神経 / neurogenin |
Outline of Annual Research Achievements |
疼痛は腰痛や関節リウマチあるいは手術後の痛みなどに代表されるように罹患者数の極めて多い症状であるが、その作用機構についてはいまだ未解明の点が多い。本研究は、ES細胞から神経細胞へと分化誘導をした細胞群から知覚神経細胞になりうる細胞のみを選び出すことにより、知覚神経細胞を効率よく培養し、疼痛の起こる仕組みを研究するための土台を作り上げることを目指すものである。 我々は次世代シークエンスによる解析から、ES細胞から神経細胞への分化誘導の過程でNeurogenin1とNeurogenin2の発現が一過的に上昇することを確認している。 また、Neurogenin1はNeurogenin2よりも知覚神経細胞の分化決定に深く関与しているという報告もある。そこで、Neurogenin1の発現を損なうことなく、Neurogenin1遺伝子の発現を蛍光タンパクで確認できるようにするため、ゲノム中のNeurogenin1遺伝子の3’側にP2Aペプチドとそれに続くeGFPの遺伝子配列をノックインすることを行った。このノックインにはゲノム編集技術であるCRISPR/CAS9を使用した。そのため、オールインワン型のCRISPR/CAS9ベクターにNeurogenin1の遺伝子座近傍を切断標的とするガイドRNAの配列を組み込み、CRISPR/CAS9ベクターを構築した。この時のガイドRNAの決定には、複数のウェブデータベース(CRISPRdirect, CRISPORなど)を利用し、切断効率が高くオフターゲット効果が低いものを複数選んだ。それぞれのガイドRNAの切断活性はSSAアッセイにより確認した。ターゲティングベクターにNeurogenin1, P2A, eGFPの3配列をつなげて組み込み、ターゲティングベクターとCRISPR/CAS9ベクターをエレクトロポレーションによってES細胞に導入して、ゲノム編集を行った。薬剤による選別とPCRによる選択を経て、Neurogenin1の3’側にeGFPを組み込んだES細胞を作成した。このノックインES細胞を使用して神経細胞への分化誘導を行った所、eGFPの蛍光は確認されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
CRISPR/CAS9を使ってNeurogenin1遺伝子の3’側にeGFPを組み込んだES細胞の作出には至ったが、eGFPの蛍光を観察するには至らなかった。eGFPの蛍光が見られない原因をゲノムシークエンスや細胞培養条件の検討によって探るため、一部の実験に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
Neurogenin1の発現をeGFPで確認可能とするため、ES細胞の再度のノックインを行うとともに、ターゲティングベクターの設計を再検討する。ついで、Neurogenin2の発現も神経分化誘導過程で大きく上昇することは既に確認しているので、Neurogenin2でも蛍光タンパク質のゲノムへの導入を行い、Neurogenin2の発現を蛍光で追跡することが可能なES細胞を作出する。またここから得られるデータを、Neurogenin1をeGFPの蛍光で確認できる系の構築に役立てる。
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Causes of Carryover |
Neurogenin1遺伝子の3’側にeGFPを組み込んだES細胞を作成することは出来たが、eGFPの蛍光を観察するに至らなかったので、その原因を調べる必要が生じたため、一部の実験に遅れが生じることとなった。本年度は、実験を遂行する上で必要な試薬、細胞培養器具の購入に充て、計画の遅れを取り返す予定である。
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