2017 Fiscal Year Research-status Report
膀胱癌の血管外脱出過程における癌由来細胞外小胞の役割解明
Project/Area Number |
17K16769
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
米山 美穂子 弘前大学, 医学研究科, 客員研究員 (50791696)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 細胞外小胞 / 膀胱癌 / 血管外脱出 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、細胞外小胞extracellular vesicles (EVs)が、細胞間コミュニケーションツールとして、生体内の様々な微小環境形成に関与することが知られている。癌細胞由来のEVs も癌転移のための微小環境形成に関わることが報告されているが、その機能・役割には、依然、未解明な点が多い。本研究では、癌の血行性転移の鍵となる癌細胞の血管外脱出過程に焦点を絞り、癌細胞由来EVsがこの過程で果たす役割を明らかにすることを目的としている。 平成29年度の実験計画では、EVの分泌抑制細胞株を作成し、予備実験によって証明していたEVsによる血管内皮細胞の透過性亢進が、EVs依存性に起きていることを明らかにすることであった。そのため、EVsの分泌に関与するtsg101遺伝子をshRNAでノックダウンし、tsg101ノックダウン細胞を作成した。これらの細胞株から回収したEVフラクションは、ウェスタンブロットによってEVマーカー(CD9,tsg101)の発現低下が減少していることを明らかにした。このtsg101ノックダウン細胞を血管内皮細胞層上に添加し、血管透過性に与える影響を検証した。その結果、tsg101ノックダウン細胞は、Tsg101ノックダウン細胞では血管透過性の亢進が認められなかった。また、このtsg101ノックダウン細胞は、血管外脱出過程にどのような影響を及ぼすかを、tsg101ノックダウン細胞および親株をマウス尾静脈より注入し、肺への転移能で検証した。その結果、親株は肺への転移が認められたのに対し、tsg101ノックダウン細胞は、肺へ転移しないことを明らかにした。これまでの検証結果から、EVsの分泌が血管外脱出に関与していることが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29 年度の研究実施計画である。 1. EVs の分泌を抑制した細胞株の作成。2. 血管透過性亢進が、EVs 依存によるものかどうかを明らかにする。3. EVs 分泌抑制細胞が、血管外脱出過程にどのような影響を及ぼすかをin vitro 系・in vivo系で検討する。
上記の計画において、tsg101遺伝子をshRNAでノックダウンし、EV分泌抑制細胞株が完成し、血管透過性に与える影響、血管外脱出過程をin vivo系で検証できたため、当初予定した計画の80%程度を達成できたため
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度に計画していた血管透過性を亢進させるEV由来因子の同定は変更なく行う予定である。
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