2017 Fiscal Year Research-status Report
Protective Effects of Regulatory T cells in Renal Ischemia-Reperfusion Injury in a Murine Model
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17K16772
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
山本 竜平 秋田大学, 医学部, 医員 (90770652)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 腎虚血再灌流障害 / 制御性T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
C57BL/6Jマウスで腎虚血再灌流障害(Ischemia-Reperfusion Injury:IRI)モデルを作成した。regulatory Tcell(Treg)(CD4+CD25+Foxp3+)を増加させる薬剤としてTrichostatin A(TsA)を使用し、減少させる薬剤としてPC61(抗CD25抗体)を使用した。マウスをDMSO投与群(対照群)、TsA投与群、DMSO + PC61投与群、 TsA + PC61投与群の4群に分け、IRI後の血清Crおよびサイトカイン濃度(ELISA法)、ATN score、左腎・脾臓でのmRNA(IL-10、IL-6、IL-2、TGF、CD80、CD86、ICAM-1)発現(qRT-PCR)を比較した。IRI後7日目の脾臓でのflow cytometry解析では、TsA投与群で対照群と比較し、有意なTreg増加を認めた。腎機能はTsA投与群で対照群と比較し、2日目において有意に良好であり、ATN scoreにおいてもTsA投与群で対照群と比較し有意に良好であった。IRI後2日目の血清サイトカイン濃度および左腎・脾臓におけるmRNA発現は、いずれもTsA投与群で対照群と比較してIL-10の有意な上昇とIL-6の有意な低下を認め、PC61の投与によりその効果は相殺された。またIRI後2日目の腎において、副刺激シグナル関連抗原分子であるCD80、CD86、ICAM-1のmRNA発現はいずれもTsA投与群で対照群と比較し有意に抑制されていた。以上のことからTsA投与による内因性のTregの増加は、腎IRI後の副刺激シグナル関連抗原分子の発現を抑制することで、IRI後早期の腎保護効果を発揮できる可能性が示唆された。このことは移植医療において臓器保護、拒絶反応抑制の両面の治療に繋がる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスモデルを用いてTricostatinA投与によるregulatory T cellの増幅が急性期のIRIを軽減し得ることが、分子生物学的に証明でき研究計画を概ね遂行できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後IRI後長期的な観察を行い、Tregによる急性期の腎機能障害が慢性期に影響しているかを検証する予定である。さらにその研究結果を踏まえ論文作成を行い投稿を行う予定である。
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Causes of Carryover |
(未使用額が発生した状況) マウスIRIモデル作成しTreg増幅に伴う急性期の腎機能障害軽減されることを確認し、その機序をELISAやwestern blottingなどで確認した。その後、慢性期の腎機能障害についても研究予定であったがマウスIRIモデルの作成に時間を要したため慢性期の研究・解析まで施行することができず、未使用額が生じた。 (次年度における未使用額の使途内容) このため、IRI後の慢性期の腎機能障害につき研究を追加し、未使用分はその経費に充てることとしたい。
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