2021 Fiscal Year Research-status Report
KIRリガンドミスマッチによる腎移植後悪性腫瘍発症抑制効果の検討
Project/Area Number |
17K16773
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
藤山 信弘 秋田大学, 医学部附属病院, 助教 (90603275)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 腎移植 / HLA / KIR |
Outline of Annual Research Achievements |
報告者は、腎移植の実臨床研究として、以下の組織適合性に関連した移植免疫について継続的に研究を進めている。 ①腎移植後重大合併症(悪性腫瘍及び感染症)の発症と移植免疫の関連について、組織適合性や自然免疫の影響を中心に継続的に国内外で学会発表してきた本研究課題である悪性腫瘍に対するKIRリガンドミスマッチの影響についての解析に加えて、ウイルス感染症におけるKIRハプロタイプやKIRリガンドミスマッチの影響についても同様な手法から成果を得ていた。[2016年~現在] ②腎移植後超急性期拒絶反応(2次性TMA(血栓性微小血管症)を含む)に関して多施設共同コホート研究として進めてきた。aHUS(非典型溶血性尿毒素症症候群)疾患遺伝子やその他の補体関連遺伝子解析や血中補体関連タンパク質濃度の評価から得た研究成果は、継続的に国内外で学会発表してきた(論文投稿中)。[2018年~現在] ③慢性抗体関連拒絶に関する検討として、ドナー特異的抗HLA抗体(DSA)産生と移植腎予後への影響と、DSA産生リスク因子解析について昨年論文報告した(Clin Exp Nephrol. 2019, Int Immunopharmacol. 2019)。特に後者では、多変量解析から(1)腎移植後タクロリムス濃度の極度な低下(1年以内の3ng/mL以下)、(2)ミコフェノール酸の中止もしくは再開できず、(3)サイトメガロウイルス感染治療の3つが主要なリスク因子であることを示した。また、DSA産生は移植後経過とともに増加することから、長期フォロー中の腎移植後DSAについても多面的な評価を行い、いくつかのリスク因子を明らかにしている(論文準備中)。[2015年~現在]
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題の主要なテーマは、腎移植後合併症と組織適合性及び自然免疫環境の関連性を明らかにすることである。 ・腎移植レシピエントにおける遺伝子座19q13.4付近のKIR遺伝子についてセントロメア側とテロメア側のKIRハプロタイプを決定し、16種からなるKIR分子種(抑制型KIR及び活性型KIR)の有無、移植ドナーとのKIRリガンドミスマッチ(KIR-HLAミスマッチKIRリガンドミスマッチ)の有無を決定した。 ・腎移植レシピエント130名を対象に、悪性腫瘍発症19名(主な固有腎癌4名、PTLD 4名、固有腎癌3名、前立腺癌3名、乳癌3名、胃癌2名、舌癌2名などで、複数癌発生は4名)への影響を評価したところ、KIRリガンドミスマッチ無群は同ミスマッチ有群に比べて発生頻度が高い傾向があった。また一部の症例によるPBMCを用いたNK細胞活性の比較では、癌発生群は非発生群と比較して有意に低かった(p<0.05)。A24&Bw4及びCw に対するKIRリガンドミスマッチ群のNK活性が高い傾向にあり、KIR-Bハプロタイプ保有群では非保有群に比較して有意に高い活性を示した(p<0.05)。 ・ウイルス感染症については、BKVN症例は特異的なKIRリガンドミスマッチとの関連が示唆された一方、CMV感染ではトータルの抑制系KIRリガンドマッチが関与することが示唆された(同ミスマッチ数が多いほどリスクが上昇)。 ・コロナ禍で遅れていたが、共同研究者の研究環境が整いつつあるので、研究を継続する。
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Strategy for Future Research Activity |
腎移植後合併症として悪性腫瘍に加えてウイルス感染に対する影響として解析に含める。また、患者背景、拒絶や治療状況を踏まえた多角的な解析を進める。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため
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Research Products
(4 results)