2017 Fiscal Year Research-status Report
Construction of non-clinical model corresponding to the metastatic urothelial carcinoma classified based on immune environment and molecular diagnosis
Project/Area Number |
17K16776
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
河原 貴史 筑波大学, 医学医療系, 助教 (50758919)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 膀胱癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、尿路上皮癌における遺伝子変異と免疫環境との関連性に関する分子機序の解明を行うとともに、分子診断法に立脚した治療法開発の非臨床モデルを構築することを目的に尿路上皮がん研究BC001コホートのヒト臨床検体を用いてFGF-FGFRシグナルと他の変異との相関、及び免疫環境について検討している。 FGFR3変異を持つ膀胱癌は免疫関連物質が抑制され、免疫細胞浸潤が少なく免疫環境が抑制的に働いていることが報告され免疫チェックポイント阻害剤が有効でない可能性が示唆されている。我々の解析対象の日本人集団においても同様FGFR3変異を有していても免疫環境が良くされていることが確認されたが、FGFR3変異陽性の一部の症例において免疫が抑制されていないと考えられている集団がありFGFR3変異による免疫抑制にから何らかの回避機序の存在が推測された。 またFGF-FGFRシグナルの解析から、FGFR1の発現がFGFR3の変異例ではFGFR1の発現が低下し、逆に変異を有しない症例ではFGFR1の発現が亢進していた。症例ごとにFGFR3の変異及びFGFR1の発現の高いものの関係を比較するとFGFR3変異要請例ではFGFR1高発現例はなかった。このことはFGFR1高発現とFGFR3変異が相補的に働くことが考えられた。さらにFGFR1高発現例とFGFR3陽性患者のRNA-seqによる発現差解析を行うとFGFR3変異陽性例には上皮系細胞への分化の発現が、FGFR1高発現例では免疫関連遺伝子発現が上昇していることを見出した。今までのin vitroの研究ではFGFR1とFGFR3は互いに異なることが示唆されているが、免疫環境で差異があることの報告はなく、今後のFGFR阻害剤や免疫チェックポイント阻害剤の反応の差異などを比較する上で重要な知見である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ヒト検体と用いた解析により上記のような成果が得られたが、2017年度に予定していた「尿路上皮癌細胞株パネルによるin-vito・in-vivoにおける遺伝子変異と免疫環境との関連性の検討」及び、ヒト癌組織を免疫抑制マウスに移植して「PDXの作成とそのモデルを用いた薬効評価」について実験が進んでいない。ヒトがん組織を用いて移植したが生着しなかったため引き続き生着率の上昇などの工夫を行いモデル作成を行っていく予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
既に得られているヒト組織を用いて尿路上皮がん組織における体細胞変異と免疫環境を中心に解析を行っていく予定である。 また動物モデルを確立して非臨床モデルを作成することが主目的であるため、腎被膜下への投与など方法の工夫と確立を行い動物モデル作成に注力していく予定である。
|