2017 Fiscal Year Research-status Report
腎癌に対する腎部分切除後の高血圧の予測因子の解明と治療展開
Project/Area Number |
17K16782
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
井上 雅晴 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 医員 (30727235)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 腎癌 / 高血圧 / 腎部分切除 |
Outline of Annual Research Achievements |
小径腎腫瘍に対する腎部分切除は標準的治療となっているが、腎部分切除によって生じうる腎実質の虚血障害は術後高血圧をもたらし、心血管障害の発生、全生存率に悪影響を及ぼす可能性がある。また、腎部分切除により生じうるレニン・アンギオテンシン系(RAS)の障害は、腎癌の再発・進展にも悪影響を及ぼす可能性がある。研究代表者は、根治的腎摘除と比較し、腎部分切除後には有意に術後高血圧の発症が多いことを報告しており (Inoue M, et al. Int J Urol. 2015)、同知見に基づき、本研究では、腎部分切除後の高血圧の予測因子を同定することを目的として研究をおこなっている。 平成29年度には、平成24年から平成28年までの期間に腎腫瘍に対して腎部分切除または根治的腎摘除を施行した355例の術前後の血圧および術前後の降圧薬を含む臨床データーを蓄積しており、術後高血圧の予測因子に関して解析を行い、米国泌尿器科学会において研究成果の報告を行った。平成30年度には、さらに詳細な解析を行い、論文報告を行う予定である。 腎部分切除により生じうるレニン・アンギオテンシン系(RAS)の障害が、腎癌の再発・進展にも悪影響を及ぼす可能性に関して、細胞学的実験を行うことを当初計画していたが、研究代表者の所属施設の変更のため、基礎的な実験を行うことは困難となっている。平成30年度には、術後高血圧発症の有無、血漿レニン 活性RAS 阻害薬の使用歴を含む患者背景と腎癌の再発・予後との関連を解析することを予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
腎部分切除により生じうるレニン・アンギオテンシン系(RAS)の障害が、腎癌の再発・進展にも悪影響を及ぼす可能性に関して、細胞学的実験を行うことを当初計画していたが、研究代表者の所属施設の変更のため、基礎的な実験を行うことは困難となっている。 腎部分切除後の高血圧発症の予測因子を同定するために必要な臨床データーの蓄積は順調であり、平成30年度に解析を行うことが可能と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
腎部分切除により生じうるレニン・アンギオテンシン系(RAS)の障害が、腎癌の再発・進展にも悪影響を及ぼす可能性に関して、細胞学的実験を行うことを当初計画していたが、研究代表者の所属施設の変更のため、基礎的な実験を行うことは困難となっており、平成30年度には、術後高血圧発症の有無、血漿レニン 活性RAS 阻害薬の使用歴を含む患者背景と腎癌の再発・予後との関連を解析することを予定している。 術前後のCT画像をSYNAPSE VINCENT を用いて解析し、腎実質内に埋没する腫瘍の容積、予測切除面積、術前後の腎容積の変化、虚血障害の出現した腎実質の容積などの評価をすることにより術後高血圧発症の予測がより高い精度で可能になると考えている。
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Causes of Carryover |
当初計画していた細胞学的実験の遂行が困難となったため、実験に使用する細胞培養容器・培地、各種抗体、各種試薬、各種アッセイキットなどの消耗品にかかる費用が当初の計画よりも少ないものとなった。 次年度に、データ解析用コンピューター、画像解析ソフト、統計解析ソフトの購入、成果発表のための学会参加の旅費、論文投稿費用としての使用を予定している。
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