2017 Fiscal Year Research-status Report
前立腺癌における染色体転座の分子機構の解明と新規治療への応用
Project/Area Number |
17K16787
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
永澤 誠之 滋賀医科大学, 医学部, 医員 (30750525)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 前立腺癌 / TMPRSS2-ERG転座 / Immuno-FISH / Androgen receptor foci |
Outline of Annual Research Achievements |
前立腺癌の約半数に認められるTMPRSS2-ERG 遺伝子の転座は、前立腺癌の約半数に認め、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)の要因の一つである。この転座はアンドロゲンレセプター(AR)による両遺伝子の接近により誘導されるが、その分子機構については明らかになっていない。本研究では、AR が核内でdot 状の構造体(foci)を形成することに着目し、AR のfoci を足場として、両遺伝子の接近がおこるという仮説をたて、検討を行っている。 前立腺癌細胞株LNCaPを用いて、アンドロゲン刺激とX線照射を行い、アンドロゲン依存的にTMPRSS2-ERG 遺伝子の転座が引き起こされることを、qPCRを用いて確認した。続いて、TMPRSS2、ERGの各遺伝子との距離を計測するために、TMPRSS2 遺伝子とERG 遺伝子を含むDNA プローブを作成し、それらを用いた3D-DNA FISHを行った。また、ARが核内でfociを形成することを免疫染色で確認し、免疫染色とFISHを組み合わせたImmuno-FISHを行った。TMPRSS2、ERG遺伝子間の距離計測と、同時に各遺伝子とAR fociとの距離を計測した。TMPRSS2-ERG遺伝子の近接がAR fociの近くで起こっているかを検討したが、TMPRSS2-ERG遺伝子の距離と各遺伝子とAR fociとの距離の間に有意な相関は認めなかった。しかしながら、アンドロゲンの投与にて引き起こされるTMPRSS2-ERG遺伝子の接近が十分に観察できなかったこともあり、それが相関関係に影響していると考えられた。現在、アンドロゲン投与などの条件を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今回の研究の中心であるImmuno-FISHと各遺伝子間の距離、タンパクintensity、遺伝子とタンパクとの距離の測定についての実験系を確立した。また、アンドロゲン投与、X線照射による転座の誘導も可能となった。しかし、アンドロゲン投与によるTMPRSS2-ERG遺伝子の近接を、それらの遺伝子間の距離の差としてとらえることができず、その転座のメカニズムについても詳細な検討ができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
癌細胞株においても各細胞で表現型が違うこともあり、cloningやsingle cellでの実験系を行うことで、より感度の高く病態をとらえることが可能と考える。また、当初予定していたBRD4だけでなく、その他のARの共役因子についても、Knockdownを行うことでARを含めた転座などの病態に影響がでるかどうかの検討を始めている。ARによるクロマチン構造変化を共役因子の視点から検討することで、新たな病態の発見を目指す。
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Causes of Carryover |
Immuno-FISHを用いた検討でやや遅れが出ていることで、次の段階であるCBP/p300のノックダウンベクターの作製や、マウスを用いたin vivoでの実験が行えていない。次年度は上記の実験を行う必要があり、in vivo実験系において助成金を使用する予定である。また、single cell baseでのPCR、Sequenceも予定しており、それらに使用する予定である。
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